2007.11.05
「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■市民の側から企業のCSRを表彰する初めての試み
私が企業の不祥事アナリストだったら、毎月食べることには困らないだろうなと思うくらい、毎月のように企業の様々な不祥事が明らかになっています。
相変わらず、製造年月日の虚偽が発覚した老舗菓子メーカー、偽装鶏肉などなどがニュースを賑わせています。(「もういいよ」という気持ちでいっぱいですが。。。) これらブランド企業の相次ぐ不祥事に対する市民の反動としてCSRへの関心が高まり、結果としてCSRという言葉を新聞で目にしない日は無いほど社会の注目を集めている、とアナリスト的には言えるでしょう。
しかし、ここでいう「社会」とはイコール「市民」ではない、ということを痛感させられる結果を今回知ることができました。今月はこのことを掘り下げて書いてみたいと思います。
私が企画・運営を担当している「CANPAN CSR プラス」というウェブサイトで、 「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」という企画を読売新聞東京本社の後援を受け、実施する運びになりました。
【CANPAN CSR プラス】 http://canpan.info/csr/
この大賞は、「市民が選ぶ」という意味において日本初の試みです。世の中にはすでにいくつかのCSRを表彰する制度が存在していますが、市民自らが参加した結果を元に表彰するという制度は存在していませんでした。
個人的には好きな和訳ではありませんが、CSRが「企業の社会的責任」という以上、ステークホルダーとして重要な市民視点の無いCSR表彰というものが無かったことを意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、表彰する基準となる、評価する側の市民のCSRリテラシーがまだその段階になかったことが大きな理由の一つとして挙げられると思います。つまり、以前は市民の側から見て、企業のCSRを判断する情報の質と量が専門家でもない限りわからないものであったということです。
また、CSRへの市民の関心が環境問題以外はさほど高くなかったことも理由として挙げておくべきと思います。
もちろんまだまだ解決するべき課題は山積みであるものの、ここ10年間の日本企業のCSRに対する取り組みは評価に値するものであることは間違いなく、そんな企業を応援するフレームを作ろうと「CSR プラス大賞」を企画しました。
そして、CSRを私たちが表彰するならば、どのように表彰することが望ましいかを考えた時、やはり「市民から応援されるCSR」として表彰されることが企業にとって最もうれしいのは言うまでもありませんから、それを実現しようということになりました。
■市民はCSRを評価することに関心があるのか
本当に市民はCSRを評価することに関心があるのか?という不安は正直ありました。しかし私たちがCSRのサイトを立ち上げ、アナリストとしてではなく、企業と市民活動を結ぶサイト運営者として感じていた直感として、投票してもらえるだろうという思いが強かったのです。
そして、市民が特定の企業のCSRを評価し、それに対して応援の意を表すとすれば、どういう方法がいいだろうかを考えました。
「CANPAN CSR プラス」というサイトでの企画だけに、ウェブの特徴を最大限に活かした方法で行おうということで、それはやはりウェブでの投票によって全国から様々な立場の方々に広く募るということでした。
目標投票数は10,000人に設定。これは、市民が選んだと銘打つ以上、一定数以上の投票でなければ意味がないこともあり、通常のアンケート調査で求める数の10倍~100倍という高い目標設定を課したのです。
重複者については、投票者の中から抽選でギフトカードなどをプレゼントする関係で、個々人の情報を入力してもらうため避けることができます。したがって純粋な10,000人からの投票を期待しました。
そして、もう一つの大きなポイントは「地方」と「中小」企業の皆さんのCSRを応援したいということでした。実はCSRは地方や中小企業のほうが大企業より素晴らしい場合がたくさんあります。それを世の中に紹介したかったのです。
そんな中、私にはさらに一つの大きな疑問がありました。それは、「市民は 『CSR』というものについてどのくらい理解しているのか?」という、そのレベル感でした。
市民の理解と言っても企業がCSRというものを広報することの重要性に気づいたのがここ数年のことです。その展開方法はまだまだ未熟と言わざるを得ません。だからこそ、このようなコラムを書くことの意味があるわけです。
つまり、「企業が期待しているほど市民にCSRは理解されていないのではないか?」という思いを払拭できずにおりました。その疑問が正しいかった場合、 投票企画自体が空振りに終わり、市民からの表彰などまだ早かったという結論は十分にあり得るわけです。
そこで、投票数の多寡はともかく、投票に参加してくれる市民の皆さんにアンケートをお願いすることにしました。つまり「市民のCSR意識調査」を並行して行うことにしたのです。
これは、広く日本中から色々な立場の方々に投票してもらう機会に、その方のCSRリテラシーを把握しつつ、それぞれの立場の方々はどのような企業のCSRを評価するか、という重要な基礎情報を得ることができるので、今後のためにも非常に有用です。
しかも、実はこのような、CSRに普段あまり接する機会のない方々も含めた大 規模なアンケートというもの自体、世の中ではほとんど行われていないのです。したがってCANPAN CSR プラスとして実施するには最適でした。
これらのデータは、結果はどうあれ、特に企業にとって大変に貴重なデータです。
そして、蓋を開けてみると、投票結果は当初の目標の二倍である20,174票(有効投票数のみ)の投票があったのです。
「市民が企業のCSRに関心を持ち、投票までしてくれるのか?」という不安は見事に払拭できましたが、同時に行ったアンケート調査結果は、私たちが新たな課題に直面していることを知ることとなりました。
それを結論から言うと、「市民はCSRを知らない」ということです。投票という行為をしてくれる方々にとってすら、CSRはまだまだ身近なものではなかったのです。次回では、そのアンケート結果を元に分析した内容をお伝えしたいと思います。
なお、この「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」の授賞式が2007年11月9日(金)に開催されます。ここでは受賞企業の取り組みについてのお話しや私からの分析結果のご報告などもございますので、ぜひお時間のある方はお越しいただければ大変光栄です。
■「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」授賞式詳細はこちら■
http://blog.canpan.info/csr2007/archive/40
■ここがポイント■
1.日本初!「市民が選ぶCSR大賞」を実施!
2.「地方」と「中小」の企業を世の中に紹介する賞
3.市民は「CSR」を知らない?!
■こちらもぜひご覧ください—————————————
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