2008.04.07
「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■CSR広報に予算を使うべきか
この一年、CSR広報について色々と書く中で、何度か「CSRは今のところ日本企業にとってコストでしかない」ということを書きました。
これは、日本では投資的にはSRI(社会的責任投資)のような動きがまだまだ未熟であり、消費者的にはCSRに取り組む企業の製品を積極的に買おうといった社会が応援するような成熟さが足りていないことを意味します。
しかしその一方で、時代の流れは、続く大企業の不祥事による「企業」という組織体そのものへの不信感も手伝って、CSRを行わない企業に対してより厳しさを増す傾向にあることは間違いありません。
これはある意味、無理難題に近い部分もある一方、社会における企業というものの存在価値が転換点にいることを意味していると思います。
つまり、「儲ける企業が偉い」という従来のシンプルな枠組みから「儲けるだけでなくどんなプラス面を社会にもたらしてくれる企業なのか」ということに社会が目を向ける時代へのシフトです。
これがもう少し加速すれば、CSRが単なるコストという状態から脱却できることになりますが、日本ではまだ時間がかかりそうです。
これまでもそのような視点は社会に存在していました。しかし、最近の変化はそれが企業の存在価値におけるメインになりうるという点が大きな違いです。
将来を見据えた企業がCSRをCI活動の一環として戦略的に取り組んでいるのはそのためです。
これを踏まえて考えれば、せっかくCSRに取り組んでいるのであれば、「自社のCSRについて広報したほうがいい」または「自社のCSRの取り組みを積極的に発信すべきだ」ということになります。
これは全く正しいのですが、いざ、CSRを自ら広報してもそれに見合った効果が得られないという状況に陥りがちなのはなぜでしょうか? その原因はいくつも考えられますが、もし「CSR広報はコストばかりかかって成果が見えない」ということであれば、いっそのことCSR広報は全く予算を使わずに行っていくというというのはいかがでしょうか?
■予算ゼロで行うCSR広報
先日、電通が発表した広告費の割合の調査で、インターネット媒体への広告費投資が、雑誌を抜いてテレビと新聞に次ぐ第三位まで上がってきたということが話題となりました。
デジタル放送の本格化に伴い、インターネットを使った広告のあり方はさらに劇的な進化を遂げていくことは間違いありません。元々リアルタイムでの双方向性を強みとするインターネットが、いわゆるプッシュ型メディアと融合するわけですから、その圧倒な力は既存の広告の形をあっという間に変えてしまうでしょう。
そんなインターネットの情報網が生み出した新たな周知様式が「誰でもメディア化」ですが、CSR広報的視点から見れると、もう一つの重要な点として、「見知らぬ第三者の意見が信頼を作る」という付加的要素が強いことを見逃す手はありません。
例えばアフィリエイトなどはその典型と言えるでしょう。メーカーが宣伝するよりも宣伝が上手なアフィリエイターがどんどん物を売ってしまうという現象は、一時社会現象化するかに見えました。
結局、あまりに話題になってしまった結果、アフィリエイトという手法そのものが陳腐化してしまい、バブルのような騒ぎは沈静化しましたが、市場として今も健在なのはご存知のとおりです。
人はなぜアフィリエイトで物を購入するのでしょうか?それは見知らぬ第三者の言葉に共感し、信頼して購入しているからにすぎません。大切なことはここに信用を創造するという工程が存在しているということです。
これは、自社自身による広報ではともすれば偽善的に思われてしまうCSR広報にとって最大のポイントであると言えます。つまり第三者の言葉によって、自社のCSRを伝えてもらうことにより、信用という付加価値を付けてもらうのです。
これをコストゼロで行おうとする場合、当然ながら狙うべきはメディアにパブリシティで記事化してもらうということに尽きます。
広報手法としては困難な手法の一つではありますが、成果も大きいのですからこれに取り組む価値は大きいと言えます。
では、記事にしてもらうにはどうすればよいのでしょうか?次回はこの点について考えてみましょう。
■ここがポイント■
1.CSRは今のところ日本企業にとってコストにしか見えない
2.CSRという言葉をベースに広報するのは間違い
3.CSR広報は、タダで記事化してもらうことが最大の効果を生む
■こちらもぜひご覧ください—————————————
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