• 2008.12.22

    学生の方からのうれしい質問

    学生の方からブログコメントに質問をいただきました。
    最近、スパムコメントばかりでうんざりしていたのでとてもうれしいです笑顔

    このような反響をいただけるのはありがたいことなので、こちらの記事のほうで回答をさせていただきますメモ

    【質問いただいた記事】
    失敗から学ぶCSR広報

    【質問内容】
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    私たちは、現在CSRマーケティングについて論文を作成しています。インターネットで調査をしていくうちに町井さまのHPである「失敗から学ぶCSR広報」の「こんなCMだけはしてはいけない見本」を拝見させていただき、非常に興味を抱きました。それとともにその情報の背景などを知りたいと思い、今回コメントさせていただきました。

    以下の質問にお答え頂ければ幸いです。

    1、ブログに記載されている某生命保険会社とはどこでしょうか。
    2、セミナーに参加した学生の意見を取り込んでありますが、どのような学生で、何人くらいからの意見でしょうか。
    3、某生命保険会社のCSR活動を絡めたCMを失敗だと考えた具体的な根拠をおしえてください。

    よろしくお願いします。
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    【回答内容】

    ご質問いただいた件、まず本記事のスタンスですが、「企業のCSRはどのように広報すればよいか」という視点から書いています。

    そのため、1.のご質問が答えにくく、CSR広報の記事を書く際の自分のルールとして、船場吉兆やミートホープのような明らかに罪悪である場合を除いて、褒める時は実社名で、そうでない時はできるだけ匿社名でということにしています。

    今回の場合、当生命保険さんは悪いことをしたわけではありませんので、実社名を公開するのは控えさせてください。

    2.につきましては、CANPAN CSR プラスというサイトのサテライトプログラムとして、CSRに関心のある学生の皆さんとダイアログを行っています。
    また、同じくCANPAN CSR プラスでは、東証一部上場企業1,700社のCSR情報を一覧化する調査を年一回実施しており、こちらにも調査員として学生の方に参加してもらっています。

    今回の話は、それらの学生の皆さんのコメントとしてもらったものです。
    ですので、ヒアリングの対象学生は「CSRに関心の高い学生」ということになります。

    ■CANPAN CSR プラス 企業のCSR情報データベース■
    http://canpan.info/csr_list_search.do

    ■CSRプラス 学生カフェ 第一回■
    http://blog.canpan.info/column/archive/32

    ■学生カフェ 第二回■
    http://blog.canpan.info/tankentai/archive/7

    3.は、この記事を書いた時点で、生命保険会社がCSR広報をする上で行うべきは、顧客に対して自分たちはこれからどのような社会的責任を会社として果たしていこうとしているかである、と考えました。

    なぜなら、生命保険会社は当時、不払いなどの実態が暴かれて責任を追及されている最中だったからです。

    そのような時期に「わたしたちは植林で地球環境に貢献しています」と大々的にCMされているのを見た顧客はどう思うでしょうか? 「植林の前にすることがあるだろう」と思うのは自明です。

    つまり、CSR的な視点で言えば、時期的には顧客との信頼関係の修復こそ急務であったにも関わらず、植林のCMはその関係修復のために何が果たされるのかが全く見えないものだったわけです。

    もし、この時期に顧客の気持ちを第一に考え、自社CMを関係修復やさらにはイメージアップにつなげようと本気で考えていたのであれば、こういう内容で植林のCMを打つはずがない。

    それらを含めて考えていくと、そもそもこれは企業としてのCSR戦略の一環としてきちんと考えて行われたCMではなく、単にトレンドに流されただけ、あるいは広告代理店の言いなりとなったCMであると私は判断しました。

    このようなCMにはCSR的な価値はありません。

    本記事中にも書かせていただきましたが、某生命保険が「顧客の皆さんが生きていく地球の、その環境を保全することこそ社命である」と立ち位置を置くのであれば、それはそれで批判されるべきものではありません。

    会社としての理念や一貫性もなく、CSR本来が持つ善意性を履き違え、単に「トレンドだから言っておかないとまずい」、「CSRを利用してブランディングしよう」というような下心のみの広報というのは、社会にとってもいい影響を与えるものではなく、もちろん自社のイメージアップにもつながらないものです。