2009.05.13
■苦しい時こそ従業員へのCSRを■
前回の号で、企業のCSR的な部分を意識して就職活動の一指標としている学生が増えているという話を書きました。
この世界的大不況の中で、各企業は新卒採用自体の予算も削減を続けています。
生き残りをかけて人材を切らなければならない中、人材を得るほうにはなかなか予算をかけられないのはやむを得ない話です。
とは言いながら、10年後に自社が存在し続けているとしたら、その時の会社の人的リソースはどうなっているでしょうか?
「採用できる余裕ができた時点で採ればいい」「即戦力の中途採用でいい」確かにそれも重要な経営的選択です。
しかし、フロントラインで戦ってくれるのは社員です。彼らのやる気や会社への忠誠心を無視して経営は成り立ちません。経営の方針が正しく、社員が元気であれば、結果は後から付いてくるものです。
今の日本企業は、環境とコンプライアンス関係のCSRについては世界でもトップレベルと言えます。しかし、従業員に対するCSRはまだまだ改善の余地があります。
これらの取り組みが遅れているのは、下記のサイトのデータからも見てとることができます。
【CANPAN CSR プラスデータベース(情報開示度)】
http://canpan.info/csr_list_search.do
■10年後の人材獲得にCSR広報を■
従業員に対するCSRを上げること、これは持続的経営を続ける上でとても重要なことです。これを怠ってしまうと組織としてのバイオリズムは間違いなく低下していきます。
仕事柄、第三者的に見ると飛ぶ鳥を落とす勢いの大企業のオフィスを見せていただく機会もありますが、オフィスは立地も事務所も立派なのに、働いている人に元気が見られない場合が多々あります。
たいてい、その企業の離職率は高いのですが、これで本当に持続的な経営が可能でしょうか?その組織のミッションを浸透させる間もなく当人が離職してしまうような企業にCSR的経営が存在しているはずがありません。
雇用不安が広がる今、学生のマインドはより安定志向、終身雇用などへの関心も高くなっています。このような学生は会社が苦しい時でも辞めずに踏みとどまってくれるような人材になり得る可能性を持っています。
そのような安定志向の学生の中でも光る優秀な人材に自社の魅力をアピールするのに、CSR広報が役に立ちます。特に難しいことをする必要はなく、学生向けのパンフレットなどにCSRについての記述を増やすだけでも効果があります。
それに響いて就職試験を受けにきてくれた学生は、そもそも「社会や誰かのために何かをしたい」マインドを持てる人材ですので、会社の10年後を支える人材に育ってくれる可能性を持っているのです。
☆ここがポイント☆
1.経営が苦しい時こそ従業員へのCSRとアピール(理解促進)を
2.会社が苦しい時に踏みとどまってくれる人材こそが会社の「人財」
3.CSR広報に関心を持てる学生は会社にとって「人財」の可能性大
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