• 2009.08.31

    就職活動とCSR

    ■就職活動にCSRを考える学生イベント■

    去る7月4日に「CSR1DAYインターンシップ」というイベントが開催されました。

    これは、ジェイ・ブロード株式会社という「就職ウォーカー」という就職活動の学生向けのメディアを展開している会社のイベントで、私が企画総括責任者をしているCANPANプロジェクトが企画の段階から協力したイベントでした。

    会社の10年後の人材を採用するには、CSRに響く学生を採用することが望ましいという私がこのコラムでも書いてきた趣旨をまさに学生に向けて発信し、学生がどう響くかをトライアルできた貴重な場となりました。

    ■PROJECT DECADE■
    http://www.project-decade.jp/ 

    参加学生数は、時期的な問題もあり当初目標としていた半分の400名ほどにとどまりましたが、参加学生の意欲は高く、朝から会場が埋まっていくのをみて正直驚きました。

    私は、まず「自分が選ぶべき企業を見抜くための10か条」と題してイベントの最初になる基調講演を行いました。ここでは主にCSRレポートを活用して、その企業の本質を見抜くための方法をCSRの説明を交えながら話をしました。

    そのまま「安全・安心への配慮」、「従業員への配慮」、「環境への配慮」と いう三つのテーマでそれぞれ2~4企業とのパネルディスカッションのファシリテートを行い、丸1日学生が企業のCSRに浸かる1日となりました。

    実はこのインターンシップにはメインのコンテンツがもう一つあり、それは「企業のCSR担当者と学生が一緒になって当該企業のCSRについてディスカッションする」というワークショップでした。

    こちらのワークショップは、午前と午後でそれぞれ180名ずつが参加し、積極的な議論がされていました。

    この新しい試みであるイベントを通じて見えてきたものは、やはりCSRに響ける学生の質は高いということであり、自社のCSR広報戦略上、これに響く学生に向けてメッセージを伝えるのは重要であるということです。

    これを参加者のアンケートから見ていきましょう。

    ■CSRを考える学生の質は高い

    まず、参加学生の有効回答数は377人のうち、何割がCSRという言葉を知っていたかという数値は69.6%でした。

    昨年、一般市民二万人へのCSRのアンケートでは、約7割の市民がCSRという言葉を知らないと回答していることを踏まえると、かなりの高率です。そのような意識の高い学生が集まっていたということになります。

    その上で、彼等が今回のイベントに参加して就職活動にCSRという視点を持つことが大切だと感じたかどうかでは、なんと99.3%が必要と答えており、主催者側も驚く異常に高い数値でした。

    また、イベント中での質問なども質が高く「企業の利益とCSRは矛盾しないのか」、「CSRはその企業の持続性を担保するものなのか」というような企業のCSR担当者が悩んでいるような深い内容でした。

    今回のようなイベントやセミナーに集まる学生に響くCSR広報は、ジェイ・ブロードさんがプロジェクト名で示すとおり「10年後の会社の人材」獲得のための組織戦略上、非常に重要であるということがこの質問内容だけでもわかりました。

    また、参加企業の満足度も高く、このようなニーズが学生側にもあることを理解していただけたことも非常に重要な成果であり、WIN-WINの関係を構築することができました。

    今後、これらのCSRに響いてくる学生をもっと広く集め、CSRをきちんと行っている企業とをつなぐイベントやセミナー、またはキャリアフォーラムを開催していくことを現在、検討しています。

    このような社会的枠組みができてくると、人材の獲得という点での広報に新しい視点が生まれ、それが企業にとっての正しい投資につながります。

    CSR広報は、会社の将来を担う人材獲得という点において、コストではなく、投資につながる可能性を強く秘めていると感じた一日でした。

    ☆ここがポイント☆
    1.CSRに響く学生が確実に存在している
    2.会社との良い出会いは学生の正しいCSRから
    3.CSR広報は未来の人材獲得のための投資となる