• 2007.04.27

    「月刊地球環境」に記事掲載

    先日、「月刊地球環境」から取材を受け、2007年4月27日発売の6月号で「CANPAN CSRプラス」について取り上げていただいた。

    CSR(企業の社会的責任)最前線を追う」という特集を組むにあたっての取材でした。

    たいへん素晴らしい特集で、さらにCANPAN CSRプラスのサイトコンセプトもとてもわかりやすくまとめて書かれてありますので、ぜひお読みいただきたいと思います。

    昨年11月オープンのCANPAN CSRプラスにも関わらず、取材を受けたり、講演のご依頼を受ける機会が多いことは本当にありがたいことと思う。

    そして同時に、CANPAN CSRプラスが果たさなければならない役割が急速に速度を増しているのを感じている。

    先日、GRIの新ガイドラインG3が発表されたが、この内容について、疑問を感じている人は多いだろう。私もその一人である。

    ガイドラインを策定する一方で、それを当のGRI自身が有料で各社のレポートの完成度について保証業務を行うという。

    目に見えにくいCSRを可視化するためのレポート作成の基準を策定し、企業が取り組むべきCSRに道標を与え、その促進に貢献してきた点においてGRIが果たしてきた役割は多大なものがあり、敬意に値する。

    しかし、このG3の改訂は、その根底に不純なものを感じざるを得ない。GRIの保証を達成するためのコンサルティングを行う会社などが儲ける仕組みでも作ろうというのだろうか?

    説明を聞いて鼻白んだ企業担当者は多かったことだろう。

    ここまでするなら「G3は格付けのための改訂であり、次はSRIだ」と明確に打ち出すほうがよほど健全な気がしてくる。評価そのものだって、決して悪いことではないだけに残念でならない。

    CSRは、社会が企業の取り組みを理解し、支援するという市民参加型でなければ意味が無いし、継続性も期待できない。つまり、市民がCSRに取り組む企業のブランド価値と経営の安全性を認め、その企業の株や商品を買うという仕組みが必要なのである。

    そこで初めて、社会にとって良い企業を市民が支えていくという優れたサイクルが動き出す。
    これがCSRというものが本来持っている社会を変える力につながるのだ。

    したがって市民には理解できず、専門家しか理解できないような「CSRレポート」などがいくら巷にあふれても、それこそ紙の無駄遣いとしか言いようがない。

    「わかりやすいCSR」を目指そうとして、各企業が自社のホームページでそれを展開すると、それは単なる「広告」である。社会からは「また偽善的なこと言っちゃってー」と斜に構えられてしまう。

    したがって私は自社のCSRの周知は第三者による「広報」によって広まることこそが「王道」であると思っている。つまり第三者にプラス評価されて初めて企業のCSRは本当に社会に受け入れられていくということだ。逆にあら探しの評価は今の段階ではせっかく出てきたCSRの芽を摘む害悪にすらなる可能性がある。

    その評価のための情報として、社会と企業との「共通言語」が必要であり、そのツールの一つとしてCSRレポートが機能しなければならないのだが、GRIの路線は真逆を行こうとしているとしか思えない。
    コンサルティングを受けなければ完成しないようなガイドラインでできたレポートを市民が理解できるはずはなく、「A+」とか「C」という結果だけが世に広まることとなるだろう。

    そもそもISO26000の議論が進められている中ではあるが、歴史も文化も、倫理観すら違う多様性のある世界の中で、一つの「CSRの世界基準」というのは無理があるように思う。

    宇宙船地球号の乗組員は、それを目指す努力をもちろん続けなければならない。しかし、憲法が国ごとに違うように、そしてその独自性を他国が尊重するように、CSRもまた国ごとに有り様があっていいのだろう。

    日本のCSRは今のところ日本型というよりは欧米の洋服を無理やり着ようとしているようだ。
    日本社会に今ひとつCSRが理解されにくいのはこのあたりにも事情があるような気すらする。

    CANPAN CSRプラスが近江商人の三方良しという概念を取り入れているのは、この日本社会と企業との「共通言語」となる情報インフラを提供したいという思いからだ。

    CSRが流行りと言われながらも、今のところ、社会は企業がせっかく取り組んでいるCSRをまだまだ理解できていない。また、企業ごとのCSRに対する理解度もおそろしいほどバラバラでもある。

    それは、まずは情報を共有することからしか入りようがない段階にいるということだ。
    したがって、CANPAN CSRプラスでは、第一フェーズとして情報の共有化を図る仕組みの提供を行っている。

    「NPOと企業との協働」という理想形も、今はまだ黎明期であるとしか言えないと思うが、それもここに理由がある。NPOの側ももっと自分たちの活動に対する理解を社会に求めるための情報公開が必要で、企業のCSRを学ぶ必要もある。

    企業の情報開示とNPOの情報開示、この二つが両輪となって社会への理解へと走り出した時、日本でCSRを取り巻く環境や市民活動のステージは大きな変革期を迎えるだろう。

    これはCANPANとして考えている公益活動をサポートするための重要な戦略、つまり小さな政府の実現によって求められる「民が民を支える社会の実現」に向けたメインフレームの一つである。

    CANPANとCANPAN CSRプラスという二枚看板の意味も、そこで初めて大きな意味を持つと考えている。

    最後に、「月刊地球環境」の編集長である松田氏に心から感謝申し上げます。