• 2007.05.28

    調達ガイドラインの普及

    スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

    その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

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    ■大企業が抱えるアキレス腱■ 

    過日、某TVの人気番組の内容に虚偽であったとして社会問題化しました。この番組を放映したのは大手のテレビ局ですが、番組の提供は某有名企業の単独スポンサーであり、番組の内容を作成したのは地方テレビ局の下請け制作会社でした。

    この一連の不祥事において、放映を行った親会社は、番組の制作を行う末端の会社までを監督しなければこのような事態を防げなかったことになります。現実的に考えれば、制作内容の一つ一つの真偽を親会社であるテレビ局が把握することは不可能です。

    しかし、やはり放送という社会への影響力を考えれば、その責任下においてそれを果たしていかざるを得ません。100%防ぐ方法はあり得ないとしても、そのリスクをできるだけ低くするにはどうすればいいのでしょうか。

    一言で言えば、「きちんとした番組を制作する制作会社としか契約しない」というとても単純な話です。しかし難しいのは、そのような制作会社をどうやって選ぶかという基準です。そこで最近、注目されているのが、「調達ガイドライン」というものです。

    これは、各企業が打ち出す「自分たちはこのガイドラインを満たす企業としか取り引きをしない」という宣言書のようなものです。

    例えば、「製品の原材料の製造過程で環境に配慮している企業としか取り引きしない」「海外の工場で不当労働をさせているようなところとは取り引きをしない」というように、自分たちのビジネスパートナーを選ぶ基準を自主的に定め、それを公開するという動きが始まっているのです。

    そして、この基準では、その取引先企業がどのようなCSRを行っているかが重要なポイントになっています。

    東証一部上場企業約1,700社の情報開示度をポイント化しているCANPAN CSRプラス( http://canpan.info/csr/ )のポイント上位20社のうち、この調達ガイドラインを設定し、公開している企業は14社ありました。

    ■調達ガイドラインをクリアする■ 

    今後、特に大企業では、リスク回避の必要性から、この調達ガイドラインを定める動きが加速することは間違いありません。これは海外からもそれを定めることを求められるという外圧が激しさを増していることもあり、否応なく対応を迫られているからです。

    たがって、今後この調達ガイドラインを定めている企業との取り引きを望むならば、まずそのガイドラインを自社がクリアしていないと商談のテーブルにもつかせてもらえないということになります。

    そして、「CSRレポート」は、自分の会社がその条件を自社がクリアしていることを証明してくれる営業ツールとしても活用が期待されます。それは、前号で書いた「GRIガイドライン」に必ずしも準拠している必要はありません。

    大切な取引先が「GRIに準拠したCSRレポートを作成していること」と調達ガイドラインを定めた場合は、それを作らざるを得ません。しかし、今のところそのようなガイドラインを定めている日本の企業はないようです。

    一方で、GRIガイドラインほどの厳格さは求めていないものの、CSRを意識していない調達ガイドラインはあり得ません。したがって、必要とされるレポートは、「我が社は貴社の取引先としてふさわしいCSRを行っている企業です」と相手に理解してもらうためのレポートということになります。

    それは、取引先のCSRへの取り組みを理解し、自分たちもその理念に共感しうるパートナーであることを証明できるものでなければなりません。取引先がCSRへの取り組みに真剣であればあるほど、自社に求められるCSRも真剣さが必要になるということです。

    【ここがポイント】
    1.取引先に対して「調達ガイドライン」を求める企業が増えている
    2.調達ガイドラインは、取引先のCSRを判断するための指標
    3.CSRレポートが調達ガイドイランをクリアするためのツールとなる

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