• 2008.07.10

    NPOとの協働力を高める

    スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

    その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

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    ■うさん臭いNPOの見分け方

    自社でCSRを展開する中で、特に社会貢献系のCSRを行おうとする場合、自分たちが行いたい活動をしているボランティア団体やNPO法人と手を組んで事業を展開する、いわゆる「協働」が効果的です。

    それは、基本的に会社はビジネスをすることは得意でも、非営利的な活動は得意ではないからで、餅は餅屋に任せるのが一番です。

    しかし、ここで一つの壁があります。それは「どのNPOと組めばいいのかわからない」という問題です。

    この場合、自分たちの会社から提供できるリソースが、人やモノ、あるいはお金でも構いませんが、協働するべきNPOの選定を誤ると社会への投資がただのコストで終わってしまいます。

    社会の中で、いまだNPOは「よくかわからない組織」という位置づけです。そもそも「世の中のため、人のため」に活動しているはずの組織は、もっと社会から評価されていて良いはずです。しかし残念ながら、日本社会ではそうなってはいません。

    これは、欧米のNPOが社会的ステイタスが高いこととは全く環境が異なります。それがなぜ起こるかというと、やはり日本では「良い事は隠れて行う」、いわゆる陰徳という考え方があるからだと思います。

    それも素晴らしい考え方である一方、今の時代の複雑な課題を解決するためには、陰徳の活動だけでは効果的な活動ができないのも事実です。最近のNPOの活動では、自分たちの活動を周知することを重視する傾向へとシフトおり、ウェブサイトなどを使って積極的な広報をしている団体も多く見受けられます。

    とてもキレイなウェブサイトで耳に気持ちの良い言葉が並べられているNPOのウェブサイトがあって、協賛金を求めているとしましょう。(このようなサイトはたくさんあります。)

    このサイトを展開しているNPOが信頼するに足る組織かどうかを見分けるためにまず一番最初にやらなければならないのは何でしょうか? それは、「財務情報をきちんと開示しているか」をチェックすることです。

    協賛金や寄付金、つまり他者から集めたお金を使って事業を展開するNPOは、たとえその活動が善意であるとしても、そのお金をどう使い、どのような成果を世の中にお返しすることができたのかを報告する義務があります。

    自分たちの活動への支援者を増やすためにウェブサイトで広報をしているのに、最も信頼されるために必要な財務情報を出していないNPOのウェブサイトは疑ってかかる必要があります。

    その報告が詳細であればあるほど、その団体は信頼できる団体であると言っていいでしょう。

    もし、財布の中身を人に見られるのが嫌だと考えるNPOがいるとしたら、その団体は人からお金を集めて活動するのではなく、自分達のポケットマネーで活動すればよいだけのことです。

    「そのような報告は、たとえ事実と違っていてもいくらでも作れるのではないか? 」という疑問は当然出てくると思いますが、基本的に誰が見ているかわからないウェブサイトで代表者の実名と共に財務情報や事業報告をしている団体の場合、そのリスクは少ないと考えてよいと思います。

    しかし、それだけでは不安だという方のために、信頼できる第三者によるチェック機能が付いた新しい信頼情報発信の取り組みをご紹介しましょう。

    ■中間支援組織という組織

    それぞれの地域には、現場で活躍するボランティア団体やNPO法人といった非営利活動を目的として活動している団体があります。この数は登記されているNPO法人だけでも3万を超えています。

    それらの団体のほとんどは財政基盤が脆弱です。したがって常に自分たちの活動に共感して支援してくれる人や企業を探しています。そんな団体をサポートする組織として「中間支援組織」と呼ばれる組織があります。全国で200~300ほどあると言われています。

    具体的には「○○NPO支援センター」、「○○ボランティアセンター」というような名称で活動している組織です。(名称は多岐にわたります。)それらの団体は会費による活動だけでなく、自治体からの業務を受託して地域のボランティアやNPOの活動を支援する活動をしていたりします。

    彼らは現場で活動する団体のサポートを行っている関係で、その地域やテーマ(社会福祉や環境・子どもなど)で活動する団体を直接知っています。 したがって、彼らに相談して自分たちの会社でやりたいCSR活動と協働できそうな団体を紹介してもらうことでリスクはかなり回避できます。

    そんな中間支援組織が第三者として各団体の活動内容を認証し、それをウェブサイトでデータベースとして公開する仕組みが宮城県ではじまり、「みんみん」という名前で2008年6月9日にオープンしました。

    ▽みやぎの公益活動ポータルサイト「みんみん」▽ 
    http://minmin.canpan.info/

    これは仙台で活躍する「せんだい・みやぎNPOセンター」と、私が企画・運営の責任者をしている「公益コミュニティサイト『CANPAN(カンパン)』」との協働で実現したポータルサイトであり、この仕組みはおそらく世界初です。

    ▽せんだい・みやぎNPOセンター▽

    http://www.minmin.org/

    個別のNPOにとっては、このような社会的な信頼度が高い中間支援組織に自分たちの活動を認証してもらうことで、社会的信頼度を高められ、支援者を増やすきっかけを作ることができるというメリットがあります。

    ▽みやぎNPO情報ライブラリー 登録団体一覧▽
    http://minmin.canpan.info/dantai_list.html

    同じサイト内のライブラリには、登録されている団体が情報発信度に応じた★マークの数と共に一覧できるようになっています。

    さらにこのデータベースは元々「CANPAN」のシステムを利用しているため、全国の市民活動の情報が集まるCANPAN上にも表示されますが、CANPAN側からだと違う見え方をしています。

    ▽CANPANの団体情報一覧▽ 
    http://canpan.info/dantai_list_view.do

    CANPAN側から見ると「認証マーク」という欄に「みんみんバード」と呼ばれるマークがついている団体があります。これがせんだいみやぎNPOセンターのほうで活動とその報告内容を認証した団体です。

    この団体一覧を見ただけで、どの団体が信頼度が高そうかおわかりになるのではないでしょうか?

    さらにブログで日々の活動を情報発信している団体の場合は、この「信頼」情報に加え、さらに活動をする方々の顔が見れる「感動」情報を社会に発信することに成功しています。

    このように、NPO側も企業と組んで社会的責任を果たそうとするのであれば、社会的に信頼できる情報をきちんと発信してくことは必要最低限必要なことであり、企業側はそれができる団体と協働することがリスクの回避につながりま す。

    さらに、広報的に見ると、これらのサイトに自社のウェブサイトからリンクを張ることで、自社で投資した成果を第三者を通じて世の中に発信することができるため、信頼性が上がり、広報的価値が生まれます。

    現在、このような第三者認証の仕組みが提供されているサイトはこの「みんみん」だけですが、今後、一~二年の間に全国で数十のサイトがCANPANとの協働で生まれてきます。

    この動きが加速することで、信頼できるNPOとそうでないNPOとの見分け方はより鮮明になり、結果として協働相手を探すことが容易になるばかりでなく、最適なパートナーとの協働プロジェクトが生み出す社会的な成果が世の中に周知されていきます。

    それは必ず皆さんのCSRの活動に満足感を与えてくれることとなるでしょう。

    ■ここがポイント■
    1.財務情報を開示していないのに協賛金や寄付金を募っているNPOは要チェック
    2.協働時は、中間支援組織という第三者による認証団体を介することで、リスク回避と同時に広報的付加価値をゲットする
    3.最適なパートーナーとのCSRプロジェクトの協働が、社会への大きな成果と投資への満足感を生む

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