2009.03.16
■社員一体のCSR広報に学ぶ■
全世界規模の大不況の中でも、とりわけ自動車業界へのダメージは想像を超えるものでした。アメリカのビック3が公的資金を投入される事態にとどまらず、エコの分野で一人勝ち状態のトヨタや、日産、ホンダすらが苦しんでいます。
自動車業界はマーケット飽和など構造的な課題も大きく、単なる世界的不況での業績悪化とは片づけられない中で、あるニュースが飛び込んできました。
「トヨタの管理職が自社の車を自費で購入。一人で二台買う人も」
正直、やられたという気持ちでした。これ以上のCSR広報は無いと言っても過言ではないほどのインパクトのある記事です。身銭を切ってでも自分の会社を守ろうとする社員のいる会社「トヨタ」。トヨタの本当の強さを見た思いです。
昔は、三菱電器や松下に入社することは親戚やご近所に対して自慢できることであり、ステイタスであり、働くモチベーションそのものでもありました。大企業に入って日本経済を支え、世界に「MADE IN JAPAN」を広めていく。とても夢のある時代でした。
現在はどうでしょうか?
つい先日、ある話を聞きました。
「私は○○に入ったら、世界の中で日本企業としての誇りを持って働けると思っていた。企業の成長は日本経済成長の象徴であり、それがモチベーションになるはずだった。しかし、入社して以来、そんな風に感じられたことは一度もない。それどころか、単なる歯車として企業の延命に付き合わされている気しかしない」
彼は、この働いている大手電機メーカーを退職することを決意しましたが、とても優秀な人材であることは周囲も認めるところです。このような組織にとって有為な人材が将来を悲観して大企業を辞めていく現状、これこそが今の不況以上に深刻な問題です。
なぜなら彼は、自分が組織にいることの意義が見出せずにいるのであって、売り上げが伸びない不況や会社の現状を嘆いているわけではないからです。もし、この企業が彼のような人材に組織で働く意義を与えられたなら、彼は不況とは関係なく、懸命に働いてくれたことでしょう。
この企業は、その働く意義を与えられることができなかったのであり、そのような大企業が世の中に増えていることは私があえて説明するまでもないことです。
そんな中でのトヨタの社員自らが声を上げた会社を守る運動、それがメディアを使って流れていく。トヨタは無駄な広報費を使わず、自分たちの企業のすごさを世の中にアピールするのに成功したのです。
■不況を追い風と見る■
トヨタのこの記事のポイントは、トヨタですらそのような危機感を持たざるを得ないというニュース性もありましたが、「社員自らが自分たちの会社を守るために行動した」という点が結果的に大きいものとなりました。
以前、電子機器メーカーが、自社のパソコンを賞与代わりに配った話もメディアで注目されましたが、こちらに漂う悲壮感とは根本的に違う結果になったのです。
「こんな会社にいる社員はかわいそう」と思われて終わった電子機器メーカーの話と、「自費で車を買うほどにトヨタは社員から愛されている会社なのか」と印象づけたトヨタ、その差は歴然です。
この差を生むのは一朝一夕にできるものではありません。社員との日ごろからの信頼関係なくしてこのような結果を呼ぶことはできません。(もちろん中には「迷惑な運動だ」と思っている管理職もいるでしょうが・・・)
この信頼関係を作り上げる経営そのものがCSRであり、CSR広報につながる布石として不可欠なことです。
以前より申し上げていることではありますが、CSR広報はうわべだけで行うと全く成果が出ないばかりか、逆効果になる可能性を持った難しい広報です。
ところが、きちんとしたCSRを行っている会社にとっては、この不況が追い風となり、広報費がどんどん削減されていく中で、無料で広報ができてしまうのです。
よい事例を一つ挙げてみましょう。
▽女が企業を変える(3)▽
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000410902170001
これは、朝日新聞の地方版の特集記事です。
私の担当している「CANPAN CSR プラス」というサイトで実施したCSR大賞でグランプリを受賞した従業員8名(しかも全員が臨時雇用!)の小さな会社です。
▽CANPAN CSR大賞▽
http://blog.canpan.info/csraward_2008/archive/61
彼らには大きな広報予算はなく、またそれをする意味もあまりありません。しかし、CSR的な経営をしているが故に社会から注目され、市民から選ばれ、いくつものメディアで取り上げられるようになり、結果として予算をかけずに自社のブランディングを果たしているのです。
きちんとしたCSR経営を行っている会社にとって、不況はむしろCSR広報的には追い風であり、最も可能性のある広報の一つだと思います。
☆ここがポイント☆
1.CSR経営を突き詰める中にニュース性が生まれる土壌ができる
2.CSR広報の土壌から芽が出るのは日ごろからの社員との信頼関係構築あってこそ
3.不況の今だからこそ、CSR広報に知恵を絞る
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