2009.09.14
「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■トーンダウンしたCSRへの取り組み
昨年から続く大不況の中、それまでは大きな盛り上がりを見せていた企業各社のCSRに対するトーンが確実にダウンしています。
これは、厳しい経営環境を色濃く反映したものであり、CSRの取り組みを流行に乗っただけでコストとしてしか見ていなかった企業であればあるほど、最初のコストカットの対象とするでしょう。
本コラムでも何度か書いてきたとおり、今の日本企業が置かれている現状は、CSRの取り組みがコストでしかない側面があることは否定できません。
もしかしたら、企業数的にはそちらのほうがメインかもしれないとすら思います。
しかしながら、あらためてCSRの本質を考えれば、それは経営そのものです。
つまり「なぜ自分たち(企業)は存在するのか」を体現するものですから、景気の良し悪しに左右されるものではないはずなのです。
1980年代から流行した「メセナ」や「フィランソロピー」は、企業に対してほぼ100%見返りを求めない社会貢献性を要求していました。それ故にバブル経済崩壊と共に、このブームも一気に去ってしまったのです。
しかしCSRは、上記の二つの内容は包含しつつも、むしろ自社の持続的な経営を守るための基盤となるべき指標として存在し、不況の今だからこそ原点に回帰するための道しるべとなるものなのです。
この本質的な理解が社会的にされていないところに日本企業にとってCSRの取り組みがコストにならざるを得ない根本的な理由の一つがあります。
では、このまま不況が続くとして、CSRの取り組みはこのまま縮小を続け、とにかく儲かればいいのだというロジックが再び世の中を席捲してしまうのでしょうか?
■不況下で爆発力を持つCSR広報
おそらくそうはならないでしょう。たとえそのような状態が一時的に出現するとしても、それは永続的経営を可能にするものでは決してありません。
それは、人類がもはや石器時代に戻れないことと一緒なのです。企業というものが世の中に誕生して以来、様々な時代の変遷の中で企業のあるべき姿も変わり、その有り様は複雑化し高度化してきました。
それは企業という組織体が生き残っていくためのサバイバビリティを上げるための知恵として、ある時は時代の波に乗り、またある時はもがき苦しみながら自らの姿を変えてきたのです。
この経験値の蓄積は人類が持つ遺産です。
これを人類は手放すことはできません。そして、この蓄積によって育ってきたこれからの企業のあり方は、「社会の中での自分たちのあり方」を抜きにして持続的な経営など不可能なのです。
そして、それを踏まえたとしても、この不況下、しかも社会的なトーンダウン中のCSR広報展開は、技術的にはとても難しく短期的に結果が出る手札は想定し難いでしょう。
とすれば、ここは長期的視野に立ち、「自分たちは社会の中でどういう存在でありたいのか」というメッセージを広告として世の中に伝え続けるという純粋な方法に打ち込むという手が残ります。
具体的に言えば、自分たちはなぜこの製品を作ったのか、それによってお客様にどうなって欲しいのか、もっと厚かましい言い方をするなら、自分たちの作った製品やサービスでお客様の何を変えたいのかを伝えることです。
閉塞感のある不況下、社会はその出口となるような、自分たちの明るい未来を約束してくれるようなものに餓えています。これを解決しようとする企業の姿勢に裏付けされた製品やサービスこそが受け入れられるのです。
その結実のわかりやすい例はトヨタのプリウスでしょう。あれはトヨタの戦略的忍耐が生んだ大ヒット商品でもある一方、トヨタのCSRの具現化でもあるのです。
そして、折しも環境問題への社会的関心の向上と投機的な原油価格の高騰とを背景としてCSR広報が一気に加速し、相乗効果を生んだ結果として、瀕死に陥いる寸前のトヨタを救った爆発的ヒット商品となったのです。
これは極端な例ではありますが、今のこの時期だからこそCSR広報への取り組みが成功すると爆発的な成果を生むということの好例であり、参考になるものです。
不況からの脱出はまだ時間がかかりそうです。ここはじっくりと構え、自社のCSRを考える好機としてCSR広報の手法を模索してみてはいかがでしょうか。
☆ここがポイント☆
1.不況は自社のCSRのあり方を見直す良い機会
2.会社が社会でどうありたいかを柔軟に考えてみる
3.CSR広報の持つ爆発力は不況下だからこそ
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