• 2009.10.23

    flumpool in 武道館

    CANPANでは、そのオープンの前(びっくり)から、武道館で市民活動団体が一堂に集まるフォーラムをしたいと思っているが、まだ実現していない(笑)

    そんな中、昨年メジャーデビューした私が注目するバンド「flumpool」がわずか一年で武道館でライブを行った。

    これは行かねば!ということで行ったのであるけれども、いやー、歌うまい!
    ホントにうまいし、何よりメンバーが気持ちのいい連中なのにやられた。

    自分の中では、音楽を人前で演奏するというのは公益じゃないかと思っている。

    アーティストからすれば、自分の創造の具現化を人に聴いてもらう行為だけれども、結果として人を幸せにするというか、明らかに元気をもらうのである。

    その分、演奏者本人は擦り切れることも多々あるわけで、誰かのために自分の歌を聴いてもらうわけだから、これって「公益」の原点か???という気がするわけです。

    自分が音楽が好きだから誰かの前で演奏する、だけどそれが結果として誰かを元気にする、これがCSRだとどうでしょう?

    自分達は作った製品を売ってお金を稼ぎたい、だけどその先にはお客さんの笑顔や幸せがあるとしたら、それこそがCSRのはずだよね、と。

    自分のやりたいことと社会が喜んでくれること、これは両立されて当然であって、本来そうでなければ働く甲斐なんてないし、商いの基本であるわけです。

    その辺が忘れ去られている点が、今の大人の世界の閉塞感につながっているようにも思えた夜、「flumpoolをこれからも応援したい!市民活動もCANPANもそのうち武道館!」と思いながら九段下からJR東京駅に向かって歩いていたら迷子になった・・・(素直に九段下から電車に乗ればよかった・・・落ち込み)

  • 2009.10.15

    百億の昼と千億の夜

    このタイトルの本について知っている人の多くは、おそらくマンガのほうをご存じなのではないかと思う。

    実際には、光瀬龍という作家が書いたこのSF小説が原作となっている。

    私はこの光瀬龍という作家が大好きで、彼の書いた本のほとんどを持っているのではないかと思う。

    自分が高校生の頃からちょっと入手が困難な本が多く、古本屋では必ずチェックしていた(笑)
    (それが今や、アマゾンでいくらでも買えてしまうのだが、値段が高いのは良くない。聖飢魔Ⅱのバンドスコアとか2万円近くするし困った)

    今年は彼の没後10年にあたり、その年に「興福寺阿修羅展」が人気を博したのは不思議な感慨がある。

    阿修羅王を悪としてではなく、主人公の仏陀の悩める自己の投影的存在として描いた彼の構成力に本当に感動したものである。

    自分の仏像趣味の中でも、最も阿修羅王像が好きな理由の一つもこの小説の影響があることは間違いない。

    また、彼は本当に博学で、生物学や古典に至るまで、あらゆるジャンルに興味を持った人のようで、それぞれの分野に著作がある。

    SFという突拍子もない世界のアイディアがそれらの融合によって生まれていたであろうことは想像に難くないが、今の社会課題解決のアイディアもそのようなところにヒントがあるようにも思う。

    光瀬龍氏のSF作品で私のおすすめは、「喪われた都市の記録」という本。
    なんだかとても奥が深い作品である。

  • 2009.10.12

    売れないCSRに意味なし

    スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

    その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

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    ■社会とつながる製品づくり 

    前回、プリウスがトヨタのCSRの具現化であるという話を書きました。
    プリウスの売り上げは、第二位の軽自動車の月間売り上げを引き離して単独首位を続けています。

    自動車業界全体の売り上げが昨年度比で10%以上のダウンの中で、この独り勝ち状態を作り出した要因はどこにあるのでしょうか?とは言いつつも、これだけプリウスが好調であるにも関わらず、トヨタは三期連続の赤字決算を続けており、厳しい経営環境に置かれているのはトヨタでさえ例外ではありません。

    そんな中、豊田章男社長は、「もっといい車を作る」というブレない軸を定めたと言っています。
    それは「何台売るか」や「どれくらい利益を出すか」という数字の積み上げによる製品開発ではなく、地域に喜んでもらえる車とはどんな車か、その適正価格はどのくらいかをまず考える車づくりと経営だと言います。

    まさに三代目のプリウスはこうした発想を元に作られた車なのであり、この「社会のための車」づくりを目指して作った車が、社会から受け入れられたということです。

    この事実は、不況下における持続的な企業経営とモノづくりをする全ての企業に大きなヒントを与えてくれていると言えます。

    もちろん、プリウスが成功した背景には、トヨタの卓越した技術力をはじめ、環境への関心の向上、ガソリンの高騰、またはエコカー減税など複合的な要因が後押ししているのは事実ですが、これらの要因もつまるところは社会からのニーズと、その反映でしかありません。

    ■売れないCSR製品に意味なし

    ではここで、トヨタのようにCSR的なマインドを主軸にして作るモノづくりがそのまま会社の利益に直結する場合、それはCSRと呼んでいいものなのでしょうか?

    答えはもちろん「YES」であり、もっと強く言うなら、CSR製品はどんどん売れて儲けが出なければいけないのです。

    それでこそ、企業のCSRの取り組みはコストではなく投資になるはずです。

    プリウスの好業績を受け、自動車各社は血眼になってトヨタの追撃をはじめています。CO2などどこ吹く風でトラックのエンジンを乗用車に積んでいたようなアメリカの自動車メーカーすら、2011年にはハイブリッドを出すと発表しました。

    トヨタ発のCSR製品は、世界中の他の競合メーカーを動かし、それが広まることで終着的には世界から自動車のCO2排出量は激減していくという好循環を加速させるきっかけを作りました。そういう意味で、プリウスは革命的な製品と言えます。

    CSRという経営理念とその実践は、会社が潰れずに生き残り続けるために必須ではありますが、一方で、それは利益と相反するものではないということをもっと日本企業は理解し、製品づくりやその広告などに活かすべきです。

    それなくして、CSR広報を想定しても表面的で意味のないものにしかならず、そもそも広報的価値がありません。

    本当にCSR的な価値のある製品とは、売れてこそ価値が何倍にもなるものがあり、そこに広報され得る価値が生まれる好循環サイクルの製品なのです。

    ☆ここがポイント☆
    1.プリウスは本当に「社会のための車」だからこそ売れた。
    2.CSR製品は売れて儲けが出なければいけない。
    3.CSR製品は、会社の持続的経営を守る好循環サイクル製品である。

  • 2009.09.14

    不況下でのCSR広報

    スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

    その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

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    ■トーンダウンしたCSRへの取り組み

    昨年から続く大不況の中、それまでは大きな盛り上がりを見せていた企業各社のCSRに対するトーンが確実にダウンしています。

    これは、厳しい経営環境を色濃く反映したものであり、CSRの取り組みを流行に乗っただけでコストとしてしか見ていなかった企業であればあるほど、最初のコストカットの対象とするでしょう。

    本コラムでも何度か書いてきたとおり、今の日本企業が置かれている現状は、CSRの取り組みがコストでしかない側面があることは否定できません。
    もしかしたら、企業数的にはそちらのほうがメインかもしれないとすら思います。

    しかしながら、あらためてCSRの本質を考えれば、それは経営そのものです。
    つまり「なぜ自分たち(企業)は存在するのか」を体現するものですから、景気の良し悪しに左右されるものではないはずなのです。

    1980年代から流行した「メセナ」や「フィランソロピー」は、企業に対してほぼ100%見返りを求めない社会貢献性を要求していました。それ故にバブル経済崩壊と共に、このブームも一気に去ってしまったのです。

    しかしCSRは、上記の二つの内容は包含しつつも、むしろ自社の持続的な経営を守るための基盤となるべき指標として存在し、不況の今だからこそ原点に回帰するための道しるべとなるものなのです。

    この本質的な理解が社会的にされていないところに日本企業にとってCSRの取り組みがコストにならざるを得ない根本的な理由の一つがあります。

    では、このまま不況が続くとして、CSRの取り組みはこのまま縮小を続け、とにかく儲かればいいのだというロジックが再び世の中を席捲してしまうのでしょうか?

    ■不況下で爆発力を持つCSR広報

    おそらくそうはならないでしょう。たとえそのような状態が一時的に出現するとしても、それは永続的経営を可能にするものでは決してありません。

    それは、人類がもはや石器時代に戻れないことと一緒なのです。企業というものが世の中に誕生して以来、様々な時代の変遷の中で企業のあるべき姿も変わり、その有り様は複雑化し高度化してきました。

    それは企業という組織体が生き残っていくためのサバイバビリティを上げるための知恵として、ある時は時代の波に乗り、またある時はもがき苦しみながら自らの姿を変えてきたのです。
    この経験値の蓄積は人類が持つ遺産です。

    これを人類は手放すことはできません。そして、この蓄積によって育ってきたこれからの企業のあり方は、「社会の中での自分たちのあり方」を抜きにして持続的な経営など不可能なのです。

    そして、それを踏まえたとしても、この不況下、しかも社会的なトーンダウン中のCSR広報展開は、技術的にはとても難しく短期的に結果が出る手札は想定し難いでしょう。

    とすれば、ここは長期的視野に立ち、「自分たちは社会の中でどういう存在でありたいのか」というメッセージを広告として世の中に伝え続けるという純粋な方法に打ち込むという手が残ります。

    具体的に言えば、自分たちはなぜこの製品を作ったのか、それによってお客様にどうなって欲しいのか、もっと厚かましい言い方をするなら、自分たちの作った製品やサービスでお客様の何を変えたいのかを伝えることです。

    閉塞感のある不況下、社会はその出口となるような、自分たちの明るい未来を約束してくれるようなものに餓えています。これを解決しようとする企業の姿勢に裏付けされた製品やサービスこそが受け入れられるのです。

    その結実のわかりやすい例はトヨタのプリウスでしょう。あれはトヨタの戦略的忍耐が生んだ大ヒット商品でもある一方、トヨタのCSRの具現化でもあるのです。

    そして、折しも環境問題への社会的関心の向上と投機的な原油価格の高騰とを背景としてCSR広報が一気に加速し、相乗効果を生んだ結果として、瀕死に陥いる寸前のトヨタを救った爆発的ヒット商品となったのです。

    これは極端な例ではありますが、今のこの時期だからこそCSR広報への取り組みが成功すると爆発的な成果を生むということの好例であり、参考になるものです。

    不況からの脱出はまだ時間がかかりそうです。ここはじっくりと構え、自社のCSRを考える好機としてCSR広報の手法を模索してみてはいかがでしょうか。

    ☆ここがポイント☆
    1.不況は自社のCSRのあり方を見直す良い機会
    2.会社が社会でどうありたいかを柔軟に考えてみる
    3.CSR広報の持つ爆発力は不況下だからこそ

  • 2009.08.31

    就職活動とCSR

    ■就職活動にCSRを考える学生イベント■

    去る7月4日に「CSR1DAYインターンシップ」というイベントが開催されました。

    これは、ジェイ・ブロード株式会社という「就職ウォーカー」という就職活動の学生向けのメディアを展開している会社のイベントで、私が企画総括責任者をしているCANPANプロジェクトが企画の段階から協力したイベントでした。

    会社の10年後の人材を採用するには、CSRに響く学生を採用することが望ましいという私がこのコラムでも書いてきた趣旨をまさに学生に向けて発信し、学生がどう響くかをトライアルできた貴重な場となりました。

    ■PROJECT DECADE■
    http://www.project-decade.jp/ 

    参加学生数は、時期的な問題もあり当初目標としていた半分の400名ほどにとどまりましたが、参加学生の意欲は高く、朝から会場が埋まっていくのをみて正直驚きました。

    私は、まず「自分が選ぶべき企業を見抜くための10か条」と題してイベントの最初になる基調講演を行いました。ここでは主にCSRレポートを活用して、その企業の本質を見抜くための方法をCSRの説明を交えながら話をしました。

    そのまま「安全・安心への配慮」、「従業員への配慮」、「環境への配慮」と いう三つのテーマでそれぞれ2~4企業とのパネルディスカッションのファシリテートを行い、丸1日学生が企業のCSRに浸かる1日となりました。

    実はこのインターンシップにはメインのコンテンツがもう一つあり、それは「企業のCSR担当者と学生が一緒になって当該企業のCSRについてディスカッションする」というワークショップでした。

    こちらのワークショップは、午前と午後でそれぞれ180名ずつが参加し、積極的な議論がされていました。

    この新しい試みであるイベントを通じて見えてきたものは、やはりCSRに響ける学生の質は高いということであり、自社のCSR広報戦略上、これに響く学生に向けてメッセージを伝えるのは重要であるということです。

    これを参加者のアンケートから見ていきましょう。

    ■CSRを考える学生の質は高い

    まず、参加学生の有効回答数は377人のうち、何割がCSRという言葉を知っていたかという数値は69.6%でした。

    昨年、一般市民二万人へのCSRのアンケートでは、約7割の市民がCSRという言葉を知らないと回答していることを踏まえると、かなりの高率です。そのような意識の高い学生が集まっていたということになります。

    その上で、彼等が今回のイベントに参加して就職活動にCSRという視点を持つことが大切だと感じたかどうかでは、なんと99.3%が必要と答えており、主催者側も驚く異常に高い数値でした。

    また、イベント中での質問なども質が高く「企業の利益とCSRは矛盾しないのか」、「CSRはその企業の持続性を担保するものなのか」というような企業のCSR担当者が悩んでいるような深い内容でした。

    今回のようなイベントやセミナーに集まる学生に響くCSR広報は、ジェイ・ブロードさんがプロジェクト名で示すとおり「10年後の会社の人材」獲得のための組織戦略上、非常に重要であるということがこの質問内容だけでもわかりました。

    また、参加企業の満足度も高く、このようなニーズが学生側にもあることを理解していただけたことも非常に重要な成果であり、WIN-WINの関係を構築することができました。

    今後、これらのCSRに響いてくる学生をもっと広く集め、CSRをきちんと行っている企業とをつなぐイベントやセミナー、またはキャリアフォーラムを開催していくことを現在、検討しています。

    このような社会的枠組みができてくると、人材の獲得という点での広報に新しい視点が生まれ、それが企業にとっての正しい投資につながります。

    CSR広報は、会社の将来を担う人材獲得という点において、コストではなく、投資につながる可能性を強く秘めていると感じた一日でした。

    ☆ここがポイント☆
    1.CSRに響く学生が確実に存在している
    2.会社との良い出会いは学生の正しいCSRから
    3.CSR広報は未来の人材獲得のための投資となる