2018.07.06
■茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか■
https://toyokeizai.net/articles/-/184696
実家のある水戸の地価、独り負けという記事。
茨城県では最大人口の27万人を擁する水戸市、産業構造的にはかなり偏ったサービス業中心の地方都市、人口は数年前まで微増していたが今は下落傾向。これは今後も続くだろう。
記事では地価価格の下落を課題とするが、本質ではない。税収は今のところ安定しているし、固定資産税も目立った減少は今のところ見られない。
つまり、地価価格の下落はそれほど市民の生活を左右しない。
それよりも、将来的に深刻となるであろう課題は、水戸市がかなり偏ったサービス業を中心とした都市であるにも関わらず、その担い手となるべき生産人口の減少率が高いことだ。
これから、工業はもとより農業を含めた製造関係はおしなべてAIと機械にその業務が代替されていくが、サービス業の多くは最後まで人間を求める領域が残り続ける領域だ。つまり、需要はシンギュラリティ(技術的特異点)後もある程度の期間、仕事がある。それだけに、生産人口が減ることは大きなリスクとなりうる。
一方、記事中でライバルとされるつくば市は生産人口が増加傾向にある。これは2040年くらいまで続くことが予測されている。
仮に水戸市に新幹線が来ていたとしよう。それが生産人口を増やす要因となっていたか、という点については否定的だ。なぜなら新幹線通勤には水戸は近すぎて、つくば市との差別化が困難だからだ。都心へのアクセスは圧倒的に本数も多い「つくばエキスプレス」のほうが利便性が高い。さらに、計画都市として道路も歩道も広く居心地の良いつくば市に比べ、元々城下町でごちゃごちゃしている水戸市では比較にならない。
さらに、水戸市が社会全体がイケイケで都市計画などなんとでもなる、と思っていた1980年代、つくば市は1985年の「つくば万博」を起点として、研究学園都市としての発展を計画、思った以上に遅れた「つくばエキスプレス」の開通を40年近く待った。その間に近くには空港もできた。おかげで今は研究学園都市として日本でも特化した素晴らしいコンテンツ都市となっている。今さら勝てるわけがない。
それらを考えていくと、この5-10年だけで言うなら、水戸が取り組むべき施策の一つは、安倍内閣が「働き方改革」といううわべだけの施策を打ち出しまくってる中、テレワークだ、サテライトオフィスだと、金をばらまいているので、この波に乗って企業誘致をすることだろう。
もちろん、そのための施策を考えることは必要だ。企業誘致に取り組む自治体は全国にあり、市場はレッドオーシャン化している。
そこでの競争優位性を出すには、ハードというよりソフト部分での戦略的誘致施策を考えていく必要がある。
少なくとも、テレワークとサテライトオフィスに関しては、「通勤には少し遠い」「移動には少し不便だが、がんばれば日帰り可」などいくつかのキーワードがある。その点で水戸市は優位性がある。
地理的条件というものは、新幹線とか飛行機とか、その条件をブレイクスルーできるツールは世の中的にはあるが、絶対ではないし、それになんと言っても金がかかる。その費用対効果を考えるなら、やはりその場所にある、という動かせない事実に目を向けて自分たちの強みを考えていくべきだ。
それらを総合的に見れば、水戸市には可能性が多くある、と思う。
独り負けだって悪くない。だって、安い価格で企業誘致できるわけだから何もマイナスではない。
ただ、問題は市政をシニア世代が舵取りしているということ。その間はその可能性すら活かすことは無理だろう。
その方々が自分の保身と健康以外のことを考えない市政を続ける間に、可能性はどんどん減って行くわけで、「緩慢なる衰退」を望まないなら、水戸市民も新しい世代に市政を任せていくべき時がとっくに来ていると思う。
2018.01.23
ソーシャルビジネスカレッジ 「経営実践研究会CSV編」にて講師として「社会課題とビジネス」をテーマに講義をさせていただきました。
参加者は主に中小企業の経営者の皆さんです。それぞれの事業を通じて社会課題の解決や社会的価値創造を実践されようとしています。
私からは地球環境から世界のメガトレンド、そして具体的な個別の取り組みまでを幅広くお話しさせていただきました。
もし自分の事業がドメスティックだとしても、なぜメガトレンドを知っておく必要があるのか、世界はこれからどうシフトするか、国内の課題はどうなるか、さらに、それを踏まえてビジネスを行う場合に、どのようにPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を創り出すか、という話までを一時間半という短い時間で説明させていただきました。
かなりてんこ盛りな内容でしたので受講生の皆さんはお疲れになったと思いますが、好評だったようで安心いたしました。
社会課題解決型ビジネスの要諦の一つは、「したたかな戦略」です。いくら社会に良いビジネスでも、いや、だからこそ、赤字ではいけません。持続可能性が無いからです。
そして、企業の社会貢献も同様です。企業の社会貢献とは慈善事業だけを指すものではありません。
それを踏まえて、皆さんには「志とソロバンの両立」を徹底的に詰めていただきたいと思います。
■経営実践研究会■
2013.11.22
「僕らの、働き方の未来をつくろう。」という素晴らしいコンセプトの下、行われているTokyo Work Design Week。その二日目は「社会をよくする仕事をつくる」ということがテーマとのことで、私がホストとなり、私が考えるに素晴らしい仕事を作っている3名の方々にご登壇いただきました。
一人は、ネパールの女性支援を目的にソーシャルビジネスを展開する株式会社Lalitpur 代表の向田麻衣さん、そしてアメリカで最も働きたい組織に選ばれたTeach For AMERICAの日本版となるNPO法人Teach For JAPAN代表の松田悠介さん、そして最後は日本のナショナルブランドの一つ、富士通株式会社で「親孝行モデル」というソーシャルイノベーションを起こしている生川(なるかわ)慎二さん。
この3名のプロフィールを見てもらえればわかるとおり、ソーシャルビジネス、NPO、そして
大企業という異色の組み合わせ。
でも、この三人のやっていること、目指していることは一緒なんですね。
働き方の未来ってなんだろうと考える時、この三人の働き方は間違いなく参考になることがたくさんある。
このような素晴らしい場を作ってくださったあしたのコミュニティーラボさんに心より感謝です。
皆さんのトーク内容はぜひこちらをご覧ください。
■社会をよくする仕事とは? TWDW 2013(関連)■
http://w-kawara.jp/originality/what-is-work-to-improve-the-social/
ご来場いただきましたみなさん、ご登壇いただいた向田さん、松田さん、生川さん、本当に
ありがとうございました!
■あしたのコミュニティラボ■
http://www.ashita-lab.jp/
■株式会社Lalitpur■
http://lalitpur.jp/
■Teach For JAPAN■
http://teachforjapan.org/
■高齢者を皆で支え合う社会に向けて(富士通株式会社)■
http://www.ashita-lab.jp/special/1583/
2009.11.29
CANPAN CSRプラスでは、「就職ウォーカー」さんとのタイアップ事業として、
「CSRに響くことができる人材は会社の『人財』となり得る」
という趣旨の下、CSRを軸とした就職セミナー等を開催している。
その一環として開催されたのが「Valuable Company 就職イベント」である。
こちらは「ジェイ・ブロード」さんが運営をされている。
このイベントは他の就職イベントと違い、「企業のCSRとは何か?」を学ぶコーナーと企業説明のブースとが併存する形で展開されている。
この企業のCSRを学ぶコーナーがとても好評で、7月4日に行われた「CSRインターンシップ」では、参加した大学生へのアンケートで99.3%の学生が「就活にはCSRという視点が必要だ」と答え、98.6%が「また参加したい」と答えてくれていた。
CANPAN CSRプラスでは、「企業が優秀な学生を入社させたい」という思いと、学生の「CSR的に優れている企業に入って力を発揮したい」という思いがつながることが大切だと考えている。
そこで、このようなシンボリックなイベントにコンテンツ提供をしているのであるが、それが非常に有益であることはこの二回のイベントでかなり確信を得た。
まず、このようなイベントに響いて参加する学生のクオリティが間違いなく高い。
質問してくる内容も普通の企業の人事担当者では答えに詰まるような企業のCSRにおける本質的で高度な質問である。
企業が社会ときちんと向き合っていることを入社条件に考えられる学生を獲得することは、企業にとって絶対的にプラスである。
したがって、減っていく人事部門の予算の中で、少しでも優秀な学生獲得を狙うのであれば、「CSR」という武器を企業は最大限活用すべきであり、それを一つの指標として学生と向き合うべきだと思う。
ただ、そうは言っても、惜しむらくは、「CSR」が持つ「経営戦略性」というものをまだまだ理解している企業が少ないということだ。
「CSR = 社会貢献ではない。」
それがまだわかってない人事担当者が多すぎる。
CSRは、CSRの部門がコストとしてやっているものではない。それを理解するべきである。
(おそらく経営者はそこはわかっているだろう。それすらわかっていない経営者がいる会社はかなり出遅れていると言わざるを得ない。)
また、学生側は、CSRに響ける学生と「CSR???」という状態の学生との格差が開きすぎているという懸念がある。それは企業から見れば、一つのフィルタリングに使えるので、ある意味ラッキーだが、少ない優秀な学生を多くの企業で奪い合うことにもなりかねず、リスクである。
いずれにしても、このような形の就職イベントは、今後大きな価値を生むものになるだろう。
【写真】日本財団もブースを展開。
2009.11.14
今日は、那覇市NPO活動支援センターが協力し、那覇青年会議所さん主催によって開催される「NPOと企業パートナーシップ in 沖縄」に参加。
この事業は、第58回日本青年会議所全国大会沖縄那覇大会記念事業の一環として行われるとのこと。
分科会を除けば、自分の出番は今日はないため、セミナーをゆっくり聞くことができる。
今回、このような場をコーディネートしたソーシャルデザインファンドの金森さんの講演や沖縄地区でのNPOと企業とのコラボ事例紹介などがある。
沖縄はその地域特性から、NPOと企業のパートナーシップが進んでいるという。
その具体的な事例を聞くことができるのはとても勉強になる。
それにしても、自分の仕事の中で、自分が好きな沖縄に貢献できるというのはとてもうれしいことだ。
CANPANプロジェクトは日本財団の本来業務である助成金を預かるセクションではないので、それとは別のレイヤーでの観光を含めた沖縄活性化に関する事業のお手伝いである。
日本財団が、資金面以外でも地域のお手伝いができるという意義は大きい。
資金は有限だが、アイディアや情報は無限の可能性がある、というCANPANのスタンスそのものでもある。
CANPANプロジェクトの広がり感を感じると同時に、こうした事業や情報の多様性がCANPANの日本をよくする活動のベースなのだということを強く感じる。
写真ではあまりよくわからないが、こちらの建物、沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」が入っている建物であるが、ものすごいゴツイ。ほとんど宮崎駿の世界
建物に「三重城」という名前が入っているので、おそらくは沖縄の歴史上に存在する城をモチーフにしていると思うが、それにしてもこのゴツさは一体(笑)
2009.08.31
■就職活動にCSRを考える学生イベント■
去る7月4日に「CSR1DAYインターンシップ」というイベントが開催されました。
これは、ジェイ・ブロード株式会社という「就職ウォーカー」という就職活動の学生向けのメディアを展開している会社のイベントで、私が企画総括責任者をしているCANPANプロジェクトが企画の段階から協力したイベントでした。
会社の10年後の人材を採用するには、CSRに響く学生を採用することが望ましいという私がこのコラムでも書いてきた趣旨をまさに学生に向けて発信し、学生がどう響くかをトライアルできた貴重な場となりました。
■PROJECT DECADE■
http://www.project-decade.jp/
参加学生数は、時期的な問題もあり当初目標としていた半分の400名ほどにとどまりましたが、参加学生の意欲は高く、朝から会場が埋まっていくのをみて正直驚きました。
私は、まず「自分が選ぶべき企業を見抜くための10か条」と題してイベントの最初になる基調講演を行いました。ここでは主にCSRレポートを活用して、その企業の本質を見抜くための方法をCSRの説明を交えながら話をしました。
そのまま「安全・安心への配慮」、「従業員への配慮」、「環境への配慮」と いう三つのテーマでそれぞれ2~4企業とのパネルディスカッションのファシリテートを行い、丸1日学生が企業のCSRに浸かる1日となりました。
実はこのインターンシップにはメインのコンテンツがもう一つあり、それは「企業のCSR担当者と学生が一緒になって当該企業のCSRについてディスカッションする」というワークショップでした。
こちらのワークショップは、午前と午後でそれぞれ180名ずつが参加し、積極的な議論がされていました。
この新しい試みであるイベントを通じて見えてきたものは、やはりCSRに響ける学生の質は高いということであり、自社のCSR広報戦略上、これに響く学生に向けてメッセージを伝えるのは重要であるということです。
これを参加者のアンケートから見ていきましょう。
■CSRを考える学生の質は高い
まず、参加学生の有効回答数は377人のうち、何割がCSRという言葉を知っていたかという数値は69.6%でした。
昨年、一般市民二万人へのCSRのアンケートでは、約7割の市民がCSRという言葉を知らないと回答していることを踏まえると、かなりの高率です。そのような意識の高い学生が集まっていたということになります。
その上で、彼等が今回のイベントに参加して就職活動にCSRという視点を持つことが大切だと感じたかどうかでは、なんと99.3%が必要と答えており、主催者側も驚く異常に高い数値でした。
また、イベント中での質問なども質が高く「企業の利益とCSRは矛盾しないのか」、「CSRはその企業の持続性を担保するものなのか」というような企業のCSR担当者が悩んでいるような深い内容でした。
今回のようなイベントやセミナーに集まる学生に響くCSR広報は、ジェイ・ブロードさんがプロジェクト名で示すとおり「10年後の会社の人材」獲得のための組織戦略上、非常に重要であるということがこの質問内容だけでもわかりました。
また、参加企業の満足度も高く、このようなニーズが学生側にもあることを理解していただけたことも非常に重要な成果であり、WIN-WINの関係を構築することができました。
今後、これらのCSRに響いてくる学生をもっと広く集め、CSRをきちんと行っている企業とをつなぐイベントやセミナー、またはキャリアフォーラムを開催していくことを現在、検討しています。
このような社会的枠組みができてくると、人材の獲得という点での広報に新しい視点が生まれ、それが企業にとっての正しい投資につながります。
CSR広報は、会社の将来を担う人材獲得という点において、コストではなく、投資につながる可能性を強く秘めていると感じた一日でした。
☆ここがポイント☆
1.CSRに響く学生が確実に存在している
2.会社との良い出会いは学生の正しいCSRから
3.CSR広報は未来の人材獲得のための投資となる