• 2018.07.06

    【考察】茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか[東洋経済記事より]

    ■茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか■

    https://toyokeizai.net/articles/-/184696

    実家のある水戸の地価、独り負けという記事。

    茨城県では最大人口の27万人を擁する水戸市、産業構造的にはかなり偏ったサービス業中心の地方都市、人口は数年前まで微増していたが今は下落傾向。これは今後も続くだろう。

    記事では地価価格の下落を課題とするが、本質ではない。税収は今のところ安定しているし、固定資産税も目立った減少は今のところ見られない。

    つまり、地価価格の下落はそれほど市民の生活を左右しない。

    それよりも、将来的に深刻となるであろう課題は、水戸市がかなり偏ったサービス業を中心とした都市であるにも関わらず、その担い手となるべき生産人口の減少率が高いことだ。

    これから、工業はもとより農業を含めた製造関係はおしなべてAIと機械にその業務が代替されていくが、サービス業の多くは最後まで人間を求める領域が残り続ける領域だ。つまり、需要はシンギュラリティ(技術的特異点)後もある程度の期間、仕事がある。それだけに、生産人口が減ることは大きなリスクとなりうる。

    一方、記事中でライバルとされるつくば市は生産人口が増加傾向にある。これは2040年くらいまで続くことが予測されている。

    仮に水戸市に新幹線が来ていたとしよう。それが生産人口を増やす要因となっていたか、という点については否定的だ。なぜなら新幹線通勤には水戸は近すぎて、つくば市との差別化が困難だからだ。都心へのアクセスは圧倒的に本数も多い「つくばエキスプレス」のほうが利便性が高い。さらに、計画都市として道路も歩道も広く居心地の良いつくば市に比べ、元々城下町でごちゃごちゃしている水戸市では比較にならない。

    さらに、水戸市が社会全体がイケイケで都市計画などなんとでもなる、と思っていた1980年代、つくば市は1985年の「つくば万博」を起点として、研究学園都市としての発展を計画、思った以上に遅れた「つくばエキスプレス」の開通を40年近く待った。その間に近くには空港もできた。おかげで今は研究学園都市として日本でも特化した素晴らしいコンテンツ都市となっている。今さら勝てるわけがない。

    それらを考えていくと、この5-10年だけで言うなら、水戸が取り組むべき施策の一つは、安倍内閣が「働き方改革」といううわべだけの施策を打ち出しまくってる中、テレワークだ、サテライトオフィスだと、金をばらまいているので、この波に乗って企業誘致をすることだろう。

    もちろん、そのための施策を考えることは必要だ。企業誘致に取り組む自治体は全国にあり、市場はレッドオーシャン化している。

    そこでの競争優位性を出すには、ハードというよりソフト部分での戦略的誘致施策を考えていく必要がある。

    少なくとも、テレワークとサテライトオフィスに関しては、「通勤には少し遠い」「移動には少し不便だが、がんばれば日帰り可」などいくつかのキーワードがある。その点で水戸市は優位性がある。

    地理的条件というものは、新幹線とか飛行機とか、その条件をブレイクスルーできるツールは世の中的にはあるが、絶対ではないし、それになんと言っても金がかかる。その費用対効果を考えるなら、やはりその場所にある、という動かせない事実に目を向けて自分たちの強みを考えていくべきだ。

    それらを総合的に見れば、水戸市には可能性が多くある、と思う。

    独り負けだって悪くない。だって、安い価格で企業誘致できるわけだから何もマイナスではない。

    ただ、問題は市政をシニア世代が舵取りしているということ。その間はその可能性すら活かすことは無理だろう。

    その方々が自分の保身と健康以外のことを考えない市政を続ける間に、可能性はどんどん減って行くわけで、「緩慢なる衰退」を望まないなら、水戸市民も新しい世代に市政を任せていくべき時がとっくに来ていると思う。

  • 2018.05.09

    【登壇】Co-innovationで起こす社会変革トークセッション

    5月18日(金)に行われる下記URLのトークセッションに登壇させていただくことになりました。

    https://www.facebook.com/events/1993225154325181/

    素晴らしい二名のゲストスピーカーとお話しできることは大変光栄です。

    内容としては、特に大企業でCSRや社会貢献部門にいらっしゃる方はもとより、新規事業やイノベーティブな事業創出を担当している方にオススメな内容になるのでは、と思っています。

    参加費は無料になります。会場でお会いできますことを楽しみにしております。

    ■お二人のご紹介■

    直近まで国連開発計画アジア・太平洋地域事務所に勤務され、現在はビジネスと人権、SDGs等のフィールドで国際的に活躍する弁護士の佐藤暁子さん

    アスクルのトップ代理店の山崎文栄堂代表取締役社長であり、COHSA SHIBUYAプロジェクトの共同代表である山崎登さん

  • 2018.01.26

    【講師】東京都中小企業診断士ソーシャルビジネス研究会

    東京都の中小企業診断士の皆様が作られているソーシャルビジネス研究会にて講演をさせていただきました。

    テーマは「社会課題とビジネス」。これまでの講師の方々がどちらかというと「社会のために」という側面が強かったとお伺いしていたので、今回はソーシャルビジネスを進める上で必要な社会の変化への対応という点と、「収益」の在り方に関する内容を強めた内容でお話しさせていただきました。

    ・今日の話を聞いて中小企業診断士こそテクノロジーによる変化を含めた社会のこれからの動きを俯瞰的に知っていなければならないのではないか

    ・ソーシャルビジネスと本業のビジネスとの整理をどうすべきか?

    このような研究会に参加される方々なだけにご質問は鋭く、思いが伝わってきました。

    私は今の時代、またはこれからの時代、中小企業こそがバリューを発揮しやすい社会と考えています。

    中小企業診断士という肩書きを持つ皆さまとこのような場を持てたことは貴重な機会となりました。

  • 2018.01.23

    【講師】経営実践研究会ソーシャルビジネスカレッジ

    ソーシャルビジネスカレッジ 「経営実践研究会CSV編」にて講師として「社会課題とビジネス」をテーマに講義をさせていただきました。

    参加者は主に中小企業の経営者の皆さんです。それぞれの事業を通じて社会課題の解決や社会的価値創造を実践されようとしています。

    私からは地球環境から世界のメガトレンド、そして具体的な個別の取り組みまでを幅広くお話しさせていただきました。

    もし自分の事業がドメスティックだとしても、なぜメガトレンドを知っておく必要があるのか、世界はこれからどうシフトするか、国内の課題はどうなるか、さらに、それを踏まえてビジネスを行う場合に、どのようにPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を創り出すか、という話までを一時間半という短い時間で説明させていただきました。

    かなりてんこ盛りな内容でしたので受講生の皆さんはお疲れになったと思いますが、好評だったようで安心いたしました。

    社会課題解決型ビジネスの要諦の一つは、「したたかな戦略」です。いくら社会に良いビジネスでも、いや、だからこそ、赤字ではいけません。持続可能性が無いからです。

    そして、企業の社会貢献も同様です。企業の社会貢献とは慈善事業だけを指すものではありません。

    それを踏まえて、皆さんには「志とソロバンの両立」を徹底的に詰めていただきたいと思います。

    ■経営実践研究会■

    http://www.keijitsukai.jp/index.html

  • 2017.12.19

    【研究会】経済産業省「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」

    経済産業省による「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」の第三回に委員として参加しました。

    東京オリパラに向けて企業ボランティア(社員ボランティア)への期待が高まる中、総論は賛成でも現場では必ずしも機運は盛り上がっていません。

    その理由を考察し、必要なことなどを議論しつつ、企業が社員ボランティアを積極的に派遣できる仕組みづくりへとつなげることなどを議論しています。

    「社会に良いこと」は、誰も反対しません。しかし、いざ自社でそれをコストをかけてでもやるか?という実践面では消極的にならざるを得ない。そこにはそれ相応の理由があります。

    そこをきれいごとではなく、企業が持つ組織ロジックや環境を踏まえて、現実的な落としどころを探る、そこにこの研究会の要諦があると思っています。

    第一回目の議事録はこちらからご覧いただけます。

    http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mono_info_service.html#volunteer

  • 2015.10.06

    GPIFが国連責任投資原則(PRI)に署名することの意味

    年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)のウェブサイトに「国連責任投資原則への署名について」という平成27年9月16日付のプレスリリースが掲載されましたね。
    これは先のニューヨークで行われた国連サミットで安倍首相が演説の中でも触れた大きな動きの一つなのですが、日本のマスコミからは全く無視されました。

    ■国連責任投資原則への署名について■
    http://www.gpif.go.jp/topics/2015/pdf/0928_signatory_UN_PRI.pdf

    GPIF と言えば世界最大の機関投資家と言われ、その運用額はなんと141兆円に上ります。
    このうち約45%が国内外の株式投資に運用されています。
    国民の年金という性格のお金ということを考えると、その運用リスクを含めて少し割合が大きすぎるのではないかという別の課題がありますね。これはこれで大きな問題なのですが、それはまたあらためて。

    今回は、このような世界最大の機関投資家が満を持して、あるいは世界から遅れること数年にして責任投資原則に署名したということがもたらす意味とインパクトについて考えてみたいと思います。

    責任投資原則は、「PRI(Principles for Responsible Investment)」と略され、2006年、当時の事務総長であったコフィー・アナン氏が提唱したイニシアティブです。
    ここでは、機関投資家の意思決定プロセスにおいて、三つの課題である環境・社会・ガバナンスという、いわゆるESGを反映させるべきであるということが謳われています。

    つまり「投資をする際には、環境や社会、ガバナンスにきちんと取り組んでいる企業を選ぶべきである」ということになります。

    世界では、このようなESGを含めたSRI(社会的責任投資)の動きは年々活発化しており、大和総研のレポートによれば、2014年の世界全体のSRI市場の規模は約21.4兆ドルで、2012年時点の約13.3兆ドルからわずか二年で61.1%もの拡大をしているようです。

    日本ではESG投資が「社会貢献的な投資」と勘違いされている場合もありますが、これは間違いです。

    2008年のリーマンショック後に投資家が考えたことの一つが「社会を裏切らない企業に投資したい」というニーズでした。
    特に年金などを扱っている機関投資家にとって、リーマンショックなど悪夢以外の何物でもありません。とにかく社会を裏切ることなく、まっとうにビジネスを続けてくれる会社に投資したいというのは自然な流れです。しかし、これまでのIR情報だけではそれは判断できません。

    ESG投資はこの視点に合致するもので、社会貢献企業への投資という側面はたしかにありますが、投資リスクの軽減と持続可能な投資を可能にするからこそ注目されたわけです。

    このような考え方の投資家が増えていくと対象となる企業も変わらなければ投資を受けられなくなります。これは非常に大きなパラダイムシフトです。

    この流れは今後、ますます加速していくのは間違いないでしょう。
    GPIFという巨大な機関投資家がこの流れに乗ったということは、これまでSRIの動きが鈍かった日本社会でもそれが進んでいくということを象徴する出来事です。

    それは単なる利益の追及だけでなく自社の社会的価値をより一層高めていくことが良い投資家からの資金を得る可能性が高まり、組織の持続可能性と競争力を高める原動力となっていくことをも意味しています。

  • 2015.09.12

    日本企業にとっての失われた20年

    みなさんがもし経団連に所属する会社に勤めていらっしゃるとしたら、経団連が1991年に制定した「企業行動憲章」をご一読されることをおすすめします。(2010年に一部改訂が行われています。)
    ■(社)日本経済団体連合会 企業行動憲章■
    https://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/cgcb/charter.html

    1991年と言えば日本は空前のバブル絶頂期にあり、企業によるメセナ活動も活発化していました。経団連による1%クラブが立ち上がったのは前年の1990年、まさに近代日本における企業の新しい社会的な役割というものが定義されていった時代でした。

    しかし、翌年には完全にバブルがはじけ、日本社会は「失われた20年」へと突入します。それに伴い、盛んだった企業のメセナ活動も大きく後退、少なくとも2003年の「CSR元年」を迎えるまでの約10年間、日本企業は社会的責任という部分において全く存在感なく、バブルというお祭りの後始末に追われることになります。

    「企業行動憲章」はこのような、世界中で日本企業が大きな存在感を発揮していた時代に作られました。したがって、この憲章は、当時グローバルな活躍をしていた日本企業にとっての振る舞いを含めたあるべき理想を表現したものと言えます。

    バブル経済真っ盛りの浮かれた時代の中で、このような高邁な理念をどれだけの経営者がまともに理解していたのかはわかりません。むしろ念仏程度にしか思っていなかった経営者のほうが多かったのではないかとも思います。

    あれから四半世紀が過ぎた今、私たちはあらためてこの憲章の意味を考える時に来ていると思います。

    なぜなら、この理念の中で企業は持続可能な社会の創造に資し、さまざまな課題に対応することを求められていることが明記されており、それを社会が企業に希求する強さは今の時代が最も大きい、つまりニーズがあるからです。

    国も行政もすでに限界、次の社会課題解決の担い手は間違いなく企業です。
    これまでの企業の役割は、課題を解決することよりも人々の生活を豊かにすることに主眼が置かれてきました。それによって私たちは快適な生活を手に入れることができたわけです。

    そして今、生活の豊かさのみでなく、次世代に負債を残さないような持続可能な社会の実現と社会課題の解決のために企業ができること、自分たちのビジネスでできることを考えることが、社会と自社の持続可能性を高めていくことにつながります。

    今、日本企業は、これまでの20年間に失った世界の中での存在感を「未来社会の創造」を通じて取り戻す時代が来ているのです。

    それは社員にとっても自分の仕事の価値と会社への忠誠を高めることにつながり、組織全体のバイオリズムを上げることになるでしょう。

  • 2015.08.15

    CSRと社会課題

    経営トップも絡んだ東芝の不適切会計問題は、日々CSRに携わる方々にとってはため息しか出ない問題と映っているのではないかと思います。

    この問題はCSR的には非常に重要な視座を得た事例だと思います。日本を牽引してきた大企業の一つがこのような問題を起こしてしまったという背景を考えると日本社会にとって極めて深刻であると言わざるを得ません。

    なぜなら、東芝のような大企業とその周辺には経済を含めた大きな生態系があり、その中心となる企業がこのような行き過ぎた利益史上主義へ走ってしまうと、その生態系全体に大きな軋みを生んでしまうからです。

    経営トップが掲げた「チャレンジ」、これは企業として間違っているとは言えません。それが悪者のように見えるのは、そこに顧客の視点が欠けているからです。

    ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と指摘しました。ここで言う「顧客」とは誰でしょうか? もちろん自社の製品やサービスを買ってくれる人、ということになります。

    しかし、その手前で製品やサービスそのものが社会のニーズと合致していなければ、そもそも売れません。つまり、ニーズを創造できていなければ顧客も創造されないわけです。

    今の日本企業に圧倒的に欠けているのはこの点です。新規のマーケットを創り出せず、結果として既存のビジネスモデルという枠の中で他社との血みどろの戦いを続け、組織だけでなく、その周りの生態系までも疲弊させる。今回の事件を見るまでもなく、このような状態は長続きしません。

    それを避けるには、社会の中で自分たちの会社はどのような価値を創り出すべきかという発想に基づいたビジネスづくりを強い意思と根気を持って進めることが必要です。

    本当はそれこそが「チャレンジ」の目的であって、営業利益が目的の「チャレンジ」など本末転倒も甚だしいのです。

    では、その社会のニーズはどこにあるのでしょうか?

    今の時代、その沃野は社会課題にあります。

    そして、このマーケットの特性は消費者アンケートなどが通用しない点にあります。消費者がどのような製品やサービスを欲しがっているのかについてアンケートをやっても無意味です。なぜなら、社会課題の渦中にある人たちは自分たちが何を求めているのかわからないからです。

    これをお読みの皆さんの中でカメラ付き携帯電話が販売された時、「これが前々から欲しかった」と思った人はどれくらいいるでしょうか?
    おそらくは「電話にカメラ? そんなの必要なの?」と思われませんでしたか?

    しかし今、電話にカメラが付いているのは当たり前、ついていない機種を探すほうが困難です。
    電話とカメラ、両方とも既存製品としてマーケットが存在していた製品ですが、それがハイブリッドされた時、そこに巨大な市場が生まれました。

    誰も意識していなかったけれども実はそこに大きなニーズがあった、これは社会課題をビジネス化する時に最も必要な視点です。

    それだけに難しくもありますが、これまでにも様々な社会課題を解決してきた日本企業だからこそ、この原点に戻ることで再び社会に必要とされる企業となることができます。
    そして、それこそがCSR経営そのものなのです。

  • 2015.05.20

    企業はCSRでコミュニティに貢献できるのか

    CSRコンサルタントの安藤 光展(あんどう・みつのぶ)さんが手がける「CSR Meetup」、様々な企業の方を毎回お招きしながらダイアログを行うイベント(?)です。

    ■CSR Meetup Facebook ■
    https://www.facebook.com/groups/288972971127467/

    こちらの第7回のテーマが「コミュニティ」ということで、お声掛けをいただきましてお話しをさせていただきました。

    当初は、私の話を聞きにどれだけの人が集まってくれるのか…などと不安がっておりましたが、なんと満員御礼…感謝感謝です。

    これは参加されるみなさんにとって役に立つ話をしなければ、といつも以上に気合いを入れて臨みまして、皆さんと約二時間、情報交換などもさせていただきました。

    このような場に来られる方々が会社に戻り、周りの無理解などにも苦しみながらも自社のCSRを本質的なものに近付けようと尽力される。

    私としては、そのような方々をなんとか側面支援してCSRに取り組む価値を上げるということをサポートしたいなぁといつも思います。

    安藤さん、素晴らしい場にお招きいただきありがとうございました!

    またご多忙の平日の夜にも関わらずご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!

    イベントの詳細はCSR Meetupのホームページをぜひご覧ください。

    ■第7回 CSR Meetup■
    http://andomitsunobu.net/?p=9954

    csrmeetup7.jpg

  • 2015.01.19

    虫混入で全ての食べ物を破棄する食物輸入大国ニッポンの病巣

    昨今のマクドナルドを起点とした食品への異物混入騒動は、個人的には行き過ぎの感が否めない。

    和光堂のコオロギ混入も、混入経路の調査は必要だとしても、全てを回収するというアクションに対してはかなり疑問。
    それらは結果的に食べられるものが大量に捨てられるということ。

    ぺヤングの工場が汚かったというような記事もあったけど、あれが本当ならそれは論外としても、ベビーフードという、製造には細心の注意が払われているであろう工場で、おそらくは「たまたま」入ってしまった虫一匹のために大量の「食べられる食べ物を廃棄する」という行為。
    ゴキブリなんて1mmの隙間があればどこからでも入ってくる。100%混入させないなんてことは、どれだけの対応をしても不可能に近い。

    食べ物が無く明日死ぬかもしれない途上国の子ども達のためにワクチン代を世界一寄付する日本人が、自分たちの食べる食べ物のためには虫一匹の混入でも大量廃棄を善とする。
    だって世界では9億人以上の人が飢餓で苦しんでいるのに。。。
    なんとも腑に落ちない。

    で、今回の件で思い出した法律をあらためて読んでみた。
    2012年に制定された、その名も「消費者教育の推進に関する法律」、通称「消費者教育促進法」。
    http://www.caa.go.jp/information/index12.html
    知らないよねぇ・・・(笑)

    「消費者市民社会」とやらの実現のために作られた本法の定義にこんなことがしっかり書かれています。

    この法律において「消費者市民社会」とは、消費者が、個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会をいうものとすること。

    何を言っているのかわかりにくいですが、要は「消費者は、自分たちの消費行動が経済や未来や地球環境にどんな影響を及ぼすのかを自覚して、持続可能な社会のため積極的に学び、行動しましょう!」ということらしく。

    この法の趣旨から鑑みて、今回の一連の騒動、「消費者市民社会」の目指す日本社会としてどうなんだろう・・・

    こんな社会が持続可能なのか? と考えちゃいますよね。。。

  • 2015.01.15

    新CSR検定はじまる

    昨日の毎日新聞の東京版に、私の考えている風な写真と共に委員を務めさせていただいている「新CSR検定」の件が掲載されました。

    毎日新聞という新聞社が、環境問題について日本では最も早く真っ向から取り組み、今も継続し続けているマスメディアであるということはあまり知られていません。

    だから、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性の故マータイさんをノーベル賞受賞前から毎日新聞が注目していたのも偶然ではないわけで。

    このようなセミナーでお話しさせていただいたことに感謝です。

    ■CSR検定■
    http://www.alterna.co.jp/13523

    mainichi_shinbun.jpg

  • 2014.03.03

    社会とのつながりがソーシャルビジネスの最大の強み

    社会課題をビジネスによって解決しようとするソーシャルビジネス。
    現在、日本でも数多く生まれてきています。

    これらが期待され、生まれてくる背景には、国や行政のセーフティーネットの限界があります。社会が右肩上がりに成長し、納税額もそれに伴って増えていくような時代は、社会課題の解決は国や行政に任せ、企業は営利を目的としたビジネスのみを追求しても社会が成立していました。

    しかし先進国が長期的停滞の時代を迎えた現在、多くの社会課題の噴出とその解決には国や行政だけではもはや不可能であり、もう一人の立役者として、企業の取り組みに期待が寄せられるようになってきたことは自然なことでもあります。

    少なくとも、一定量のニーズが存在する社会課題があるとするなら、そこにはビジネスによる持続可能な解決手法は必ず存在します。しかし、それらのビジネスを開発するためには、通常の新しいビジネスを生み出す以上の発想力や社会とつながる仕組みづくりが必要で、それだけ難しいビジネスであるのも事実です。

    震災から三年、大きな被害を受けた地域の一つである大船渡市で一つのソーシャルビジネスが生まれています。母体は「三陸パートナーズ」という6社が集まった協同組合です。大船渡市を「食のまち」としてブランド化、さらには観光資源としてもそれらを活用していくために作られました。

    ここで注目すべきは、水産加工業同士という、震災前まではライバルでありつながることなど想像もできなかった会社同士が連携し、このビジネスの根幹を形成しているということです。突然降ってきた震災からの復興という巨大な社会課題を前に、その地域で生きる人たちが利益を超えて手を組んだのです。

    そしてもう一つの要素は、被災地支援のNPOに加え、キリングループという東京を本社に持つ大企業、そしてフレンチ界で有名なシェフなど、被災地外の人たちが協力、大船渡市に「食×観光」という、いわゆる6次化による新しい産業を作ることを目指していることです。

    ブランド化に向けた様々な商品開発や販売ルートの確保、そして観光資源化するための地域の他産業との連携など、もし三陸パートナーズが自分達のビジネスのことしか考えず、一社一社バラバラにそれぞれの復興を目指していたとすれば、このような大きな戦略と可能性を持った仕組みを生み出すことはできなかったでしょう。

    ソーシャルビジネスの強みとは、まさにこの社会とのつながりによって生まれる新しい価値やイノベーティブな突破力にあります。通常のビジネスであれば成功し得ないことが、ソーシャルビジネスだからこそ可能になることが往々にあるのです。

    日本を代表する企業の多くが、これまで自分たちが続けてきたビジネスモデルだけでは生き残ることができないという危機感から、新しい事業づくりに向けた取り組みを進めています。

    今、それらの企業が指向すべきは、このソーシャルビジネスの考え方や社会との接点づくり、そして自社の利益だけではなく社会の利益を追求する先に自分たちが生き残るためのビジネスモデルがあるという発想に基づいた事業づくりです。

    それは短期的な利益を生むものではないかもしれません。しかし、それらの事業への投資によって生まれるブランド力やネットワーク、そしてそれに伴う経験は間違いなく自社にとっての将来の糧となっていくものであり、他社には簡単に真似のできない大きな価値を生みます。

    そして、その社会課題が大きい、つまりニーズが多い社会課題ほど大企業にとっても大きなチャンスがあり、取り組むべき事業領域であると言えます。

    今、日本企業が世界から期待される次のビジネスは、このソーシャルビジネスの領域から生み出されて行くものが間違いなく増えていくでしょう。そして、それこそが日本のこれからの新しい成長戦略の根幹を担うべきものとなるはずです。

  • 2013.11.29

    震災から3年 企業のCSRはどこに向かうのか?

    巷では、食材偽装問題が連日報道され、名だたる有名ホテル、デパート、レストランなどによる偽装の常態化が次々と明らかになっています。企業の食に関する不祥事は10年ほど前にも大きな問題となりました。当時のことを覚えている方も多いと思います。

    これら企業の不祥事と、2003年が日本のCSR元年と呼ばれていることとは決して無関係ではありません。企業のCSRの取り組みが加速する時、その背景として、このような社会的な負の面からの脱却を目的とする部分がありました。

    しかし、3年前の東日本大震災をきっかけとした加速はそのようなネガティブなものではありませんでした。
    突如出現した国難とも言える社会課題に社員一人一人が経営層も含めて一丸となり、「自分たちは何ができるのか」、「何をすべきなのか」を考え行動しました。それは本来あるべきCSRの形そのものと言えるものでした。

    あれから3年、大手鉄道会社によるデータ改ざん、大手銀行による反社会的組織に対する融資やクール便の常温配達問題、今回の大規模な食材偽装問題など、あの時の日本企業の輝きは何だったのか? と疑問を呈したくなるほどの不祥事が連日報道されています。

    これらの不祥事は氷山の一角でしかなく、企業は社会に対する欺瞞性を常に抱えていると考えるべきでしょうか?

    ここで世界の流れを見てみましょう。今年はCSRレポートの今後にとって重要な動きがありました。その一つが国際的なガイドラインの一つであるGRIが第四版となるG4を2013年5月に正式リリースしたことです。

    G4のテーマは「マテリアリティ」、「重要性」と訳されるこの言葉には非常に深い意味があり、今までのようにやっていることを網羅してCSRレポートとして報告すればよいということではなく、「自分たちは社会でどうあるべきか」を明らかにしていかなければCSRレポートが書けないという時代の到来を意味します。

    そして12月にはIIRCによる統合報告フレームワーク第一版の発表が予定されています。
    これらが目指すところは、企業活動の透明性の強化だけでなく、社会との正しい関係を作れる企業への経済循環の促進です。経済が循環して社会が活性化するというシステム自体は今後も変わらないでしょう。

    しかし、どこにどのように循環するか、は大きく変わっていく可能性があります。リーマンショック以降、特に海外の機関投資家は社会を裏切らない企業への投資の重要性に気付き、その流れも大きくなっています。消費者の購買行動も、こちらは少しずつですが変わりつつあります。

    企業の本質は、ドラッガーが指摘したように公器であり、決して欺瞞に満ちたものなどではありません。ただ、組織が大きくなればなるほど、そのような不祥事が起こりうる土壌が生まれやすくなるのは避けられません。その時、その芽を摘む最適な方法は、いかに多くの社員と企業理念を共有できるかです。最終的に組織の良心が現場にある限り、その組織は瓦解しません。今回の不祥事の多くが内部告発によって露見していることは、逆説的ながらも当該企業を救っているとも言えます。

    今後のCSRレポートが、その企業の本質を問う内容の開示に移行していくこと、社員に対してミッションを共有していくことがさらに必要となること、これは巨大化する企業組織やサプライチェーンに対して求められる自然な流れであり、今後、これらに真摯に取り組む企業こそが時代をリードしていくことになるのは間違いありません。

    ■企業の社会貢献活動は「陰徳」であってはならない■

    日本人の美徳の一つに「陰徳」があります。これは世界にも誇れる日本の文化ですが、過去においては企業が社会貢献活動に取り組む際にも、この「陰徳」を是とする風潮がありました。そして、それは今も根強く残っています。

    個人のポケットマネーであれば、黙って善徳を積むことは素晴らしいことかもしれません。
    しかし、企業が取り組む、または支援する社会貢献活動は、社内外を含めた多くのステークホルダーとの共感の下で行われるべきであり、これを陰徳で行うことは、社会にとっても、企業にとっても多くの機会を失うことにつながってしまいます。

    サッポロホールディングス株式会社とサッポログループ各社(以下、サッポロ)の取り組みから、陰徳ではなく共感を生みながら社会貢献活動を行うことの重要性を見てみたいと思います。

    サッポロでは、2009年より本社のある東京恵比寿の「恵比寿ガーデンプレイス」において、地元とサッポロを支えてくれる全ての方々への感謝を込め、「恵比寿麦酒祭」というビアフェスティバルを毎年秋に開催しています。

    CSR的視点で見ると、この取り組みはステークホルダーの一つである地域との関係づくりの一環として位置づけられるものです。しかし、震災以降、本イベントにおけるエビスビールの売上全額は被災地での子ども達の学習支援事業である「コラボ・スクール」という放課後学校に寄付されています。 ( http://www.hatachikikin.com/ )

    つまり、元々は感謝祭として始まったイベントにさらなる社会貢献性をもたせ、来場者と共に被災地支援につなげるという二重の共感を生む構造となっているのです。
    そのため、コースターに被災地支援を伝える文言を入れる、被災地支援にちなんだイベントを行うなど、来場者にその取り組みを伝えることも積極的に行っています。

    もしこれを陰徳で行ってしまうと、来場者はサッポロが主催するビアフェスティバルに来て楽しんで帰るという価値で終わってしまいます。しかし、この二重構造を伝えることによって、サッポロが感謝祭をどのように位置づけているのかがより明確に来場者に理解されるだけでなく、来場者も自分の一杯が被災地の子どもたちへの支援につながっていることでさらに気持ち良くビールを楽しむことができるのです。

    もう一つの重要なこととして、寄付を受けるNPOが感謝祭の期間中に挨拶をするような場面も用意されています。これにより、NPO側も自分達の活動の原資となる寄付がどのような形で行われたのかを目の当たりにすることができます。これは寄付を受けて活動を続けていくNPOにとって、とても重要なマインドセットになります。

    以上のように、サッポロの恵比寿麦酒祭における取り組みは、一つのイベントを通じて様々なステークホルダーとの共感を積極的に創り出していこうとする社会貢献事業であるからこそ、より多くの価値を社会に対して提供できるものとなっています。それは結果として自社のブランド力のアップにもつながり、社員にも共感を得られるものとなっていきます。

    この継続した支援も大きな後押しとなり、この11月には女川町に続き二校目となるコラボ・スクールが岩手県の大槌町に誕生、その建物には「サッポロ」の名前が掲げられています。

  • 2013.11.15

    CSR最前線 ~H.I.S.の取り組みから~

    2013年はCSRに関する国際的なガイドラインや基準について重要な動きがあった一年でした。2013年5月にはGRIによるCSRレポートのガイドラインが7年ぶりに刷新され、バージョン4(G4)として発行されました。

    ■GRI G4(日本語版)■
    http://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2013/80.html

    つづく12月にはIIRCによる統合報告フレームワーク第一版の発表があります。企業の社会への役割・関わり方や持続可能な経営への関心が高まる中、世界では国連グローバルコンパクトの10原則やISO26000、そしてGRIのG4やフレームワークなど、様々なルールづくりが活発に行われています。

    日本ではG4発行に先駆けた2013年3月に企業やNPO、CSR専門家といった様々なセクターの有志が連携し「G4マルチステークホルダー委員会」が発足、私の所属する日本財団が事務局を務めさせていただき、日本での国際的なガイドラインの動きなどについて情報発信をメインとした活動
    を行っています。

    ■G4マルチステークホルダー委員会■
    http://blog.canpan.info/cosmo/archive/292

    このようなヨーロッパを中心としたCSRを取り巻く環境には大きな変化が起きており、企業にとってのCSRや社会貢献の在り方も、社会との持続可能な関わり方をどのように経営戦略に組み込んでいけるかという視点を持つための基軸として、重要な役割を持つようになってきています。

    そのような国際的な動きも踏まえ、企業の社会貢献は、寄付や社員によるボランティアというようなものから、より本業とリンクした持続可能な取り組みへと急速にシフトしています。「CSV」に関心が集まっているのもその流れを象徴していると言えます。

    そのような企業の社会貢献と本業とのリンクの事例として、今回はエイチ・アイ・エス(以下、H.I.S.)の取り組みを考えてみます。

    H.I.S.は、格安の旅行ツアーなどで有名ですが、その経営理念は「ツーリズムを通じて、世界の人々の見識を高め、国籍・人種・文化・宗教などを越え、世界平和・相互理解の促進に貢献する」というものです。

    その経営理念を最も象徴しているツアープログラムが「ボランティアツアー」と「スタディツアー」です。分野は、環境・文化保全、教育・人権・子どもの保護や災害・復興支援など6カテゴリあり、行先は内容によって国内外を含め多様です。

    世界の課題を知るために現地を訪れることは、時として人生を変えてしまうほどのインパクトを旅行者に与える場合があります。特に感受性の豊かな若い世代の場合、それが原体験となってその後の人生に影響を与えることは多くの社会起業家と呼ばれる人たちの話しを聞くと見えてきます。

    しかし、そのような地域は一人で行くには様々な危険を伴うことなども多く簡単に行くことができません。また、その地域でどのようなNPOが活動しているか、地域の生の声を誰から聞けばいいのかなど、現地でのコーディネートも大変重要です。

    H.I.S.では、日本の旅行業者としては最大数の現地事務所を持つ利点を活かし、NPOなどのステークホルダーとも連携して、このようなツアーを計画、個人が安心して参加できるツアーとして提供しています。

    これらのツアーの中で特にユニークなツアーは、「前旅・中旅・後旅」という三部構成になっているツアーです。これは、ツアーに参加する前に行き先である国や地域の情勢を知るための勉強会が事前に用意されており、その後、中旅ということで実際にツアーに行きます。そして、帰国後に行ってどうだったか、ということを旅行者同士で振り返る勉強会が後旅として用意されており、旅行を通じたネットワークも含め、様々な付加価値を生んでいます。

    H.I.S.という旅行業者にとって、このようなツアーを展開することは手間も危険も伴うこともあり、利益だけを優先するのであれば最初に回避すべきツアーです。しかし、このようなツアーを薄利でも若い人が参加しやすいよう安い価格で提供し続けようとするH.I.S.の取り組みは、それ自体が本業を通じた社会貢献と呼べるもので、学ぶべき点が多いものです。

    世界の流れを考えると、企業の社会貢献活動は今後、このような自分たちの本業を通じた社会課題の解決や未来を創るための取り組みが評価され、それらが社会や顧客からの共感を得、自社のブランディングにもつながる時代になりつつあります。

    そしてもう一つ重要なことは、このような取り組みをいかに社員とも共有できるかです。この共有によって社員の働くモチベーションもアップし、結果として組織は活性化していきます。

  • 2013.09.02

    ソーシャルマーケティングの現状と課題

    多くの人たちに鮮烈な記憶を残したボルビックのCRM(コーズ・リレーテッド・マーケティング)として「1L for 10L(ワンリッター フォー テンリッター)」がありますね。
    プロジェクトの詳細は下記のURLをご覧いただきたいですが、これは、ここ10年内におけるCRMの認知度としては、最も成功した事例と言えるでしょう。

    ■1L for 10L■
    http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/volvic/1lfor10l/

    2009年の野村総合研究所の調査によれば、回答した消費者の60%が「同じ機能・値段ならば、社会貢献できる製品を買う」と回答しています。最新のデータでは2012年の消費者庁による意識調査で、53.2%が購入時に製品やサービスの環境負荷について意識し、35.6%が事業者の経営方針や理念・社会貢献活動を意識していると回答しています。

    この二つの調査は、それぞれ聞く内容が異なっているため一概に比較することはできません。しかし、これらのデータ双方とも消費者の購買行動にこのような意識が少なからず働いているということを示しているといえます。

    東日本大震災以降、このような消費者意識はソーシャルな方向へと大きくシフトしてきたと言われています。特に環境面においては、ここのところの異常気象などを消費者自らが自分事として体感していることもあり、これまで環境などに関心がなかった人たちも意識を向け始めているのは当然の流れかもしれません。

    これら消費者を取り巻く環境の変化や意識の高まりに対する企業側の対応は、以前であれば「守りのCSR」と呼ばれる領域での対応が多いものでした。しかし現在は、これらを意識した消費者に対する積極的なアプローチ、すなわち、それらを特性とした製品やサービスを開発し、マーケティング戦略として展開していこうという「攻めのCSR」として取り組むケースが増えており、これらソーシャルマーケティングの事例は年々増えていると言えます。

    一方で、課題はその規模感です。先のボルビックに見られるような社会的反響と経済面を含めた大きなスケールでの成功事例はほとんどありません。

    野村総研の調査にもあるとおり、消費者が社会貢献の製品を買うには、「同じ機能・値段ならば」という前提があります。つまり社会貢献性は付加価値としての認知であり、まだ消費者の購買行動の幹に刺さっているわけではない。

    これは決して、社会貢献性のある製品やサービスが他と比べて劣っていることを意味しません。むしろそれらの製品は本質的には他者よりすぐれている場合も多いのです。

    では、なぜスケールアウトしないのでしょうか。それは、ソーシャルマーケティングに不可欠な「社会との共感共有」という重要な点において、それを創り出せるマーケッターがまだまだ少ないということが上げられると思います。

    これは現状では残念なことですが、これらのマーケッターに絶望的に欠けているのは社会的な視点です。モノを売る、ということだけは上手いけれどその社会的価値の伝え方が全くできない。それはこれまでの業界そのものの考え方がそうだったので仕方がないと言えば仕方がない。

    でも今後は、そのような手法ができるマーケッターは増えるでしょう、若い人たちの中にそもそもそのようなマインドを持った人たちがいて、これから社会で活躍していくからです。

    いずれにしても、ソーシャルマーケティングは今後、ますます企業にとって必要なものとなっていくことは間違いなく、その点では時代のほうが先に進んでしまっている感がありますね。

  • 2013.07.24

    CSR最前線 ~富士通・ヤマトHDの事例から~

    2011年3月に発生した東日本大震災は大変不幸な出来事でしたが、一方で今後の日本社会のあり方を考える上での明るい材料を得ることができた側面がありました。

    それは、今回の大震災において企業の中で働く一人一人の社員の気づきや判断が、被災地における課題解決につながっていったケースが多かったことです。

    現場レベルの気づきが、その後の企業の事業活動にも良い形で影響を与えることになった2事例(2社)についてご紹介したいと思います。これらはいわば、現場レベルでの「内発的動機」が企業内イノベーションを促していった事例であり大変参考になるものです。

    【富士通グループのクラウドサービスを活用した被災者支援】

    東日本大震災では、宮城県だけでも発災から約3日間で32万人が避難、約1,200ヵ所の避難所が設置されました。混乱を極める避難所を円滑にマネジメントすることは、阪神大震災の時にも課題となっていましたが、今回の大震災でも、被災者のニーズをいかに迅速、かつ正確に拾い上げて支援につなげていくかの仕組みが必要とされていました。

    この問題に対応するため、「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」、通称「つなプロ」というプロジェクトが、阪神大震災の時に活動していたNPO団体を中心として立ち上がりました。

    富士通グループは、本プロジェクトと早い段階から連携することで、自社の持っていたクラウドシステムを被災者支援の仕組みとして提供、結果的に大きな成果に結びつきました。

    同社ではここで培われたノウハウを基に、今は現地における医療サービスの向上のための情報インフラの整備を自治体とも連携して進めています。
    このプロジェクトは被災者支援から日本の課題解決プロジェクトへと変貌を遂げたソーシャルイノベーション事業としての性格を持っており、注目に値します。

    そして、この事業の特徴は、現場の担当者が「つなプロ」の会議に参加し実際に被災地にも足を運ぶ中で何が問題であるのかを自身で見極め、それを社内リソースと結びつけて実行したというボトムアップ型による成果という点で、私たちに多くの気づきを与えてくれます。

    ※これらは後日、「在宅医療から石巻の復興に挑んだ731日間 (日経メディカルブックス)」として一冊の本となって発行されました。
    ご興味のある方はぜひご一読ください。(私も一部で出させていただいています(笑))

    【ヤマトホールディングスの「まごころ宅急便」プロジェクト】
    ※本活動はCSR大賞の記事でも触れています。

    ヤマトホールディングス㈱の復興支援の取り組みは、震災直後の比較的早いタイミングで発表された「宅配便1箱につき10円寄付」という取り組みが有名です。

    こうした大胆な経営判断もさることながら、現場レベルでの判断とそれを支える社員一人一人の思いが、それ以上にこの会社としての価値となっています。

    その一例として、震災前から温められてきたアイディアが、今回被災地の中で実践され、その後、本業の方にもつながった事例があります。

    ヤマト運輸盛岡駅前センターでは、日本全国に集配ネットワークを持つ同社だからこそ地域で高齢者の方々を見守れる仕組みを作れるのではないか、という思いから始まった「高齢者見守りサービス」の企画が立ち上がっていました。

    特に高齢化率の高い東北では、お年寄りが買い物をする際に重い荷物を持って帰らなければならないということや、誰にも看取られずに亡くなられるという孤独死が大きな問題となっていました。

    現在、この現場レベルでのこうした気づきを基に、東北地方を中心に「宅配サービス」と「高齢者の見守り」、「買物代行サービス」を組み合わせた仕組みを構築し運用を始めています。

    2011年時点で65歳以上の人口割合が全体の23%を超える超高齢化社会の日本において、同社のような仕組みを提供する会社の必要性はさらに高まると同時に、そのソリューションを提供する同社の価値はさらに上がっていくに違いありません。

  • 2013.07.04

    日本取引所グループとの共催CSRセミナーのご報告

    日本取引所グループと日本財団では、2月に引き続き共同主催として、「CSR を取り巻く国際的なガイドラインのこれから」というタイトルでCSRセミナーを開催しました。

    第一部(午前)ではCSR活動の方向性と今注目度の高い話題として、国連グローバル・コンパクト 代表理事であり富士ゼロックス株式会社エグゼクティブ・アドバイザーの有馬利男氏に「これからのグローバル企業に求められるCSR経営」と題してご講演をいただきました。

    また、株式会社クレアン代表取締役の薗田氏、武田薬品工業株式会社コーポレート・コミュニケーション部シニアマネジャーの金田氏をお招きし、国際社会の中における各種基準やガイドライン等の動向を踏まえ、日本企業が注目していくべき点や企業の中での活用実践例についても合わせてご紹介いただきました。

    第二部では、G4の改訂ポイントについてお伝えするとともに、国際的なガイドライン、基準等の策定状況を踏まえ、日本企業がどのような点について着目していくべきかについてパネリストの方々と参加者も交え、議論をさせていただきました。

    会場は満席の約200名の主に上場企業CSR担当者にご来場いただき、活発な質疑応答も行われ盛況のうちに無事終了いたしました。

    ご参加いただきました皆さん、ご多忙の中をご協力いただきました講師の皆さま、心より御礼申し上げます。

    こちらのセミナーの詳細報告はこちらをご覧ください。

    ■CSR を取り巻く国際的なガイドラインのこれから開催報告書■
    http://www.nippon-foundation.or.jp/news/articles/2013/img/51/03.pdf

    2013年はCSRに関する国際的なガイドラインや基準についていくつか重要な動きがあります。
    5月にはGRIガイドラインのバージョン4(G4)が発行され、12月にはIIRCによる統合報告フレームワーク第一版が発表される予定です。ヨーロッパを中心として規制や基準作りが活発に行われるなど、CSRを取り巻く環境に大きな変化が起きています。

    日本ではG4発行に先駆けて、企業やNPO、CSR専門家といった様々なセクターの有志が連携。日本社会への情報発信と意識啓発活動を行う「G4マルチステークホルダー委員会」を3月1日付で発足いたしました。

    同委員会はアドバイザーにNPO法人サステナビリティ日本フォーラムの後藤様、委員長にLRQA Japanの冨田様をお迎えし、日本財団が事務局を務めております。本委員会には、株式会社 日本取引所グループ、経済産業省、環境省、一般社団法人グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)も協力団体として関わっていただいております。

    去る3月15日に、日本財団ビル (東京都港区赤坂) にて同委員会の発足説明会を開催し、5月22~24日アムステルダムで開かれたGRIカンファレンス‘Global Conference on Sustainability and Reporting 2013’に23名の日本代表団を組織、参加して参りました。

    今後の動きにもぜひご注目ください。

  • 2013.03.06

    ソフトバンクグループの被災地支援「チャリティホワイト」はなぜ続けられたのか?

    東日本大震災発生から2年を迎える2013年3月、被災地では復興に向けたさまざまな取り組みが続けられています。

    企業による震災支援活動もかなり少なくはなったものの、た支援を継続している企業も数多く存在しており、従来までの一過性の災害支援とは一線を画した取り組みを感じることができます。

    今回は、この支援活動を顧客との共感を生みながら実施することで継続的な支援につなげると同時に、自社のブランディングとしても成功しているソフトバンクグループの事例をご紹介します。

    まず、ソフトバンク株式会社は震災発生後、10億円を寄付したほか、社長である孫正義氏個人による100億円という巨額の寄付によって社会的注目を集めました。これは個人の慈善事業としての支援活動でありソフトバンクという会社そのものの被災地支援活動ではありません。

    しかし、この寄付金の一部を原資として、東日本大震災で被災した子どもたちとその家族の支援を行うことを目的に、「公益財団法人 東日本大震災復興支援財団」という新しい組織が立ち上がり、現在も支援活動が続けられています。

    ■公益財団法人 東日本大震災復興支援財団■
    http://minnade-ganbaro.jp/

    ソフトバンクモバイルとしては、震災直後からユーザーからの義援金受付や、被災地で活動するNPO団体に対して携帯電話を無償で貸し出し貸し出しするといった本業を通じたさまざまな支援を行う一方、Yahoo! JAPANではプラットフォームを活用した義援金受付なども展開してきました。

    そして現在、ソフトバンクモバイルとソフトバンクBBでは「チャリティホワイト」というマッチング寄付の仕組みオプションサービスを提供実施しており、携帯電話の利用者から多くの寄付金を集めて被災地支援団体に寄付しています。

    ■チャリティホワイト■
    http://www.softbank.jp/mobile/special/charity_white/

    「チャリティホワイト」は、ソフトバンクの携帯電話利用者から毎月の引き落とし額にプラス10円の寄付を呼びかけ、それと同額(加入者1人当たり10円)をソフトバンクモバイルまたはソフトバンクBBが拠出、1カ月あたり20円を、「中央共同募金会」と「あしなが育英会」に寄付する仕組みです。

    現在、このチャリティホワイトの加入件数は100万件人を超えており、毎月約2,000万円の寄付が生み出されています。一社の取り組みとして、これだけの規模で顧客の賛同を得ながら寄付を集めていることは驚嘆に値します。

    この仕組みを作ったのは、ソフトバンクグループ通信3社のCSR企画部部長である池田昌人氏であり、そのきっかけは「個人としてだけでなく何か会社としてできないだろうか」という熱い思いでした。

    マーケティング部門からCSR部門に異動になった池田氏は、一社員としてこのチャリティホワイトの企画を経営会議に付議し、即断してもらうことに成功しました。

    しかし、企業におけるこのような社会貢献活動は、経営が悪化すると突然止まってしまうことが往々にして問題となります。そこで彼は、ソフトバンクモバイルの全ユーザー約3000万件とチャリティホワイト加入ユーザー95万件のユーザーの行動分析を行い、携帯電話の解約防止効果の実数の解明からソフトバンクのファンがこの社会貢献プログラムにより生み出されていることを社内に証明しました。結果として、チャリティホワイトは当初の終了予定を延長し継続が決定されたのです。

    企業である以上、利益を上げていかなければ組織そのものの持続性が担保できません。
    したがって社会貢献だけをやっているわけにはいきませんが、一方で社会に対して大きな影響力を持つ企業には、社会的役割や責任を果たしていくことが求められています。

    とすれば、それを両立するための価値の可視化は追求していかなければならず、それを株主をはじめとするステークホルダーに対し、きちんと説明していく必要があります。結果的にそれらは自社のプレゼンスを高めると同時に、経営そのものにも良い循環を生み出していきますが、多くの企業がその前段でつまずき、課題を抱えているのも事実です。

    ソフトバンクグループの取り組みは、これらの課題を解決するにはどうすればいいのかについて多くの示唆に富んでおり、学ぶべき点が多々あります。

  • 2013.03.01

    G4マルチステークホルダー委員会が発足 (GRI)

    地球環境問題の悪化や格差による貧困層の増大など、地球と社会におけるサステナビリティへの懸念が広がっている。

    その問題解決に向けて、欧州をはじめ各国では、社会的影響力の大きいグローバル企業のCSRの期待が高まっており、その流れの中で、財務と非財務(ESG)双方の観点を合わせて企業業績を評価するというCSR経営が、EU委員会でも戦略的に推進されている。

    1997年から国際的なサステナビリティ・レポーティングのガイドラインを発行している国際NGO「Global Reporting Initiative (GRI) 」では、このような社会的要請を加速するために、最新版となるガイドライン第4版(以下、G4)を、本部のあるアムステルダムで2013年5月に行われる国際会議で大々的に発表する。

    日本ではG4発行に先駆けて、企業やNPO、CSR専門家といった様々なセクターの有志が連携。このたび、日本社会への情報発信と意識啓発活動を行う「GRIマルチステークホルダー委員会」を3月1日付で発足することとなった。

    国内でのサステナビリティ・レポーティングの推進活動についての提案と同時に、世界に向けた情報発信も含めて積極的に活動を行っていく予定である。

    それに先駆けて、3月中旬に、日本財団ビル(東京都港区赤坂)にて同委員会の発足説明会を予定しています。同委員会の紹介のほか、企業報告に関する国際的な潮流について、委員長の冨田秀実氏より説明をいただくこととなりました。

    ■マルチステークホルダー委員会概要■

    ■名称:G4マルチステークホルダー委員会

    ■発足:2013年3月1日

    ■主な目的
    持続可能な社会に向けて、企業の非財務情報開示に関する議論を深め、国内での普及啓発国際的基準へのエンゲージメントを図る。

    ■具体的な活動
    ① G4および企業の情報開示に関する国際会議 (5月22~24日、オランダ・アムステルダム) への参加呼びかけ (日本企業グループとしてのCSR先進事例発表も企画)
    ② G4の和訳と出版
    ③ シンポジウム、セミナー、勉強会を通じた非財務情報開示(G4活用)の普及啓発活動

    ■ メンバー構成
    委員長 冨田 秀実 ロイド レジスター クオリティ アシュアランスリミテッド
    GRIテクニカル・アドバイザリー・コミッティー(TAC)メンバー

    アドバイザー 後藤 敏彦 元GRIボードメンバー(1998年~2006年)
    サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク代表幹事
    サステナビリティ日本フォーラム 代表理事

    メンバー
    関 正雄 株式会社 損害保険ジャパン理事 CSR統括部長
    金井 司 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社 経営企画部CSR推進室長
    川北 秀人 IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所) 代表
    石田 寛 特定非営利活動法人 経済人コー円卓会議日本委員会 専務理事兼事務局長
    薗田 綾子 特定非営利活動法人 サステナビリティ日本フォーラム 事務局長
    株式会社クレアン 代表取締役
    町井 則雄 日本財団 経営支援グループ CSR企画推進チームリーダー
    G4マルチステークホルダー委員会 事務局
    協力団体
    (予定含む) 経済産業省、環境省、公益社団法人 企業市民協議会、株式会社 日本取引所グループ

  • 2013.03.01

    水産業の未来へと繋がるキリン株式会社の取り組み

    【本業を通じた社会課題の解決】

    キリン株式会社は2013年1月より新しくCSV(Creating Shared Value)部を立ち上げた。企業価値の向上と社会価値の向上をセットで行っていこうという試みの一つとして、組織的に取り組んでいく姿勢を打ち出している企業は、日本の中でもまだ例が少ない。

    同社が行う復興支援のスキームも、基本的にこうした考え方の基に成り立っている。
    キリンの復興支援事業は、「復興応援 キリン絆プロジェクト」と銘々され、「絆を育む」をテーマに「地域食文化・食産業の復興支援」「子供の笑顔づくり支援」「心と体の元気サポート」の3つの幹で構成されており、3年間で約60億円を拠出することとなっている。

    本事業で特に注目したいのは、「地域食文化・食産業の復興支援」の事業だ。

    本事業の原資となっているのは、同社が実施した「今こそ!選ぼうニッポンのうまい!2012」プレゼントキャンペーンの対象商品などの商品1本につき1円分の寄付を集めたものになっている。まず入口の部分で、消費者とのコミュニケーションを行った上で、出口の部分では、この資金を基にして、水産冷凍施設の修繕をはじめとする、いわゆるハード支援のみならず、地域ブランドの育成や担い手の支援などを行う計画となっている。

    水産物の生産加工に携わる個別の事業者を支援するのではなく、各地域で持つブランドを面として捉え、支援を行うことによって、獲れたものが適正な価格で市場に流れ、食卓にものぼり、おつまみはキリンビールで、というストーリーを考えている。まさに社会価値の創造を行いながら、本業にもつなげていこうという試みの一つといえよう。

    【水産業を取り巻く既存システムの限界】

    東日本大震災では、原発をはじめ、様々な領域で既存システムの限界が露呈したが、水産業もその例外ではない。

    たとえば、国の支援制度というシステムを見てみると、補助制度の中における自己負担という考え方が出てくる。水産庁や自治体等の復興支援によって、漁船の購入、修繕や、冷凍施設等への様々な補助制度が作られたのだが、こうした補助制度は必ず自己負担を漁業者側に求めている。震災で被害を受けた漁業者にとって、この自己負担分というのはかなり大きな金額である。

    これに加えて、マーケット側の調達ラインの変更がある。震災によって一時的に生産ラインが止まってしまったことから、量販店を中心として、調達のラインが一気に東北から、海外を含めた他の地域にシフトしてしまったのである。いくら東北の海産物が新鮮で、美味しくても、ある程度の品質であれば、価格の安い調達先に流れてしまうのだ。

    さらに追い打ちをかけているのが、原発による風評被害である。特に福島県は非常に難しい状況にあるが、やっとの思いで漁業を再開し、加工も再開したものの、獲れたものが、これまでのような価格で売れないのだ。

    こうした問題の多くに、国の支援制度は追い付いておらず、民間レベルの支援にその期待が集まっている。

    キリン株式会社の行う水産業復興支援「絆」プロジェクトもその一つだ。

    【フィランソロフィーの先にある企業と社会との関わり】

    これまで、日本企業の多くは、いわゆるフィランソロフィー的な観点で社会課題の解決に取り組んできていた。しかし、近年欧米では、社会の課題を事業活動を通じて解決していこうとする動きが出てきている。
    キリン社の取り組みは、あくまで復興支援というフィランソロフィー事業としてスタートしているが、中長期的にはCSVという戦略の中で、事業にも連結させていく試みが検討されている。

    後者の部分があまりにも露骨に出てしまうと、儲けるために社会貢献をするのか、という批判も出てくるだろう。しかし、結果的に社会の課題が「適切に」解決されていくのであれば、その中で企業が儲けてはいけないなどということはなく、むしろ持続可能な事業にするためには必要なことですらある。

    キリン株式会社の取り組みが、これまでのフィランソロフィー型の事業から脱皮した事業のモデルとなると共に、日本の水産業への未来へと繋がる事業となることを期待したい。

    ※日本財団はこれまで海洋分野で培ってきた事業実績を基に、キリン株式会社の行う水産業復興支援事業について、寄付金をお預かりし、共同で事業を推進しています。

    参照URL:http://www.kirin.co.jp/csr/kizuna/marine/

1234