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ソフトバンクグループの被災地支援「チャリティホワイト」はなぜ続けられたのか?

東日本大震災発生から2年を迎える2013年3月、被災地では復興に向けたさまざまな取り組みが続けられています。

企業による震災支援活動もかなり少なくはなったものの、た支援を継続している企業も数多く存在しており、従来までの一過性の災害支援とは一線を画した取り組みを感じることができます。

今回は、この支援活動を顧客との共感を生みながら実施することで継続的な支援につなげると同時に、自社のブランディングとしても成功しているソフトバンクグループの事例をご紹介します。

まず、ソフトバンク株式会社は震災発生後、10億円を寄付したほか、社長である孫正義氏個人による100億円という巨額の寄付によって社会的注目を集めました。これは個人の慈善事業としての支援活動でありソフトバンクという会社そのものの被災地支援活動ではありません。

しかし、この寄付金の一部を原資として、東日本大震災で被災した子どもたちとその家族の支援を行うことを目的に、「公益財団法人 東日本大震災復興支援財団」という新しい組織が立ち上がり、現在も支援活動が続けられています。

■公益財団法人 東日本大震災復興支援財団■
http://minnade-ganbaro.jp/

ソフトバンクモバイルとしては、震災直後からユーザーからの義援金受付や、被災地で活動するNPO団体に対して携帯電話を無償で貸し出し貸し出しするといった本業を通じたさまざまな支援を行う一方、Yahoo! JAPANではプラットフォームを活用した義援金受付なども展開してきました。

そして現在、ソフトバンクモバイルとソフトバンクBBでは「チャリティホワイト」というマッチング寄付の仕組みオプションサービスを提供実施しており、携帯電話の利用者から多くの寄付金を集めて被災地支援団体に寄付しています。

■チャリティホワイト■
http://www.softbank.jp/mobile/special/charity_white/

「チャリティホワイト」は、ソフトバンクの携帯電話利用者から毎月の引き落とし額にプラス10円の寄付を呼びかけ、それと同額(加入者1人当たり10円)をソフトバンクモバイルまたはソフトバンクBBが拠出、1カ月あたり20円を、「中央共同募金会」と「あしなが育英会」に寄付する仕組みです。

現在、このチャリティホワイトの加入件数は100万件人を超えており、毎月約2,000万円の寄付が生み出されています。一社の取り組みとして、これだけの規模で顧客の賛同を得ながら寄付を集めていることは驚嘆に値します。

この仕組みを作ったのは、ソフトバンクグループ通信3社のCSR企画部部長である池田昌人氏であり、そのきっかけは「個人としてだけでなく何か会社としてできないだろうか」という熱い思いでした。

マーケティング部門からCSR部門に異動になった池田氏は、一社員としてこのチャリティホワイトの企画を経営会議に付議し、即断してもらうことに成功しました。

しかし、企業におけるこのような社会貢献活動は、経営が悪化すると突然止まってしまうことが往々にして問題となります。そこで彼は、ソフトバンクモバイルの全ユーザー約3000万件とチャリティホワイト加入ユーザー95万件のユーザーの行動分析を行い、携帯電話の解約防止効果の実数の解明からソフトバンクのファンがこの社会貢献プログラムにより生み出されていることを社内に証明しました。結果として、チャリティホワイトは当初の終了予定を延長し継続が決定されたのです。

企業である以上、利益を上げていかなければ組織そのものの持続性が担保できません。
したがって社会貢献だけをやっているわけにはいきませんが、一方で社会に対して大きな影響力を持つ企業には、社会的役割や責任を果たしていくことが求められています。

とすれば、それを両立するための価値の可視化は追求していかなければならず、それを株主をはじめとするステークホルダーに対し、きちんと説明していく必要があります。結果的にそれらは自社のプレゼンスを高めると同時に、経営そのものにも良い循環を生み出していきますが、多くの企業がその前段でつまずき、課題を抱えているのも事実です。

ソフトバンクグループの取り組みは、これらの課題を解決するにはどうすればいいのかについて多くの示唆に富んでおり、学ぶべき点が多々あります。