「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■地球環境を守ること=自社の存続
今回は少し具体的な例を上げて本業の中で進めるCSRについて書いてみたいと思います。
皆さんもよくご存知の羊羹の「虎屋(とらや)」。この虎屋のCSRへの取り組みの中で面白い取り組みがあります。
その一つが自分たちの本業の中でどうしても協力しなければならない活動として、WWF Japan(世界自然保護基金日本委員会)への協力を行っています。
ご存知のとおりWWFは、野生生物の保護活動など幅広い自然保護活動を展開する世界最大の民間団体です。
なぜこの団体に虎屋は協力しないといけないのでしょうか? それはWWFがトラの保護活動を行っているからです。
そう、「虎屋」の社名そのものの動物である「トラ」が絶滅されてしまうと、虎屋はその社名を「昔、トラという動物がいて・・・」と過去形で語らなければならなくなってしまいます。トラがこの世から絶滅されては困るのです。そこで虎屋は、WWFを通じて、社名を守ることと同様に、トラの保護活動へ参加しているのです。
これは野生生物の保護活動というCSRの社会貢献分野における立派な取り組みですが、本業、または社の存在そのものへ直結する重要な投資です。
そしてもう一つ、環境保全に対しても1970年代から様々な取り組みをしてきています。
それはなぜでしょうか? 虎屋は、餡の原材料を国産、北海道の厳選された小豆のみを使用しています。ところが、地球が温暖化してしまうと北海道で良質な小豆が採れなくなり、もっと北のサハリン以北へ原料を求めざるを得なくなります。
■虎屋の原材料の説明はこちら■
http://www.toraya-group.co.jp/make/mak_index.html
これでは、彼らが標榜する「原料にこだわり、国産にこだわる」という最も重要な社会との約束を守れなくなってしまいます。
それを守り続けるため、彼らは環境問題が社会問題化するずっと昔から、環境に配慮し続けてきたのです。
環境問題に対して配慮するのは、今となってはほとんどの企業が当たり前のように取り組み、または取り組まなければならないCSRですが、彼らにとっては本業を続けていく上で必須の取り組みなのです。
このように、虎屋という会社にとって、CSRに取り組むことは自社の存続とイコールであり、これらは彼らにとってコストではなく、必要な投資なのです。
■虎屋のCSRの取り組みについてはこちら(PDF)■
http://www.toraya-group.co.jp/corporate/pdf/20020804_01.pdf
それでは、もう一件、本業にもっと直接的に結びついたCSRの取り組み事例を見てみましょう。
■本業と共に果たすCSR
特定非営利活動法人ジェン(JEN)という団体が行っている「BOOK MAGIC」という活動があります。
■特定非営利活動法人ジェン BOOK MAGIC■
http://www.jen-npo.org/bookmagic/index.html
これは、不要になったコミック単行本や文庫、雑誌、CDなど50点以上を段ボールに詰めてペリカン便で送るだけでアフガニスタンの教育支援やパキスタンの震災支援などに寄付ができるという仕組みです。
この本やCDなどを引き取ってJENに必要な資金を提供してくれるのはあの「ブックオフ」です。彼らは本業で行う業務のサイクルはそのままに、BOOK MAGICに協力しています。これも立派なCSRです。
ブックオフが、直接、不要や売りたくなった本やCDを集めるだけでは社会貢献に結びつきません。しかし、JENというNPO法人を通じて「回収してもらうこと」で、本業としての古本などを回収するという業務はそのままに、社会貢献に結びつけるということを実現しています。
ブックオフではこのような活動以外にも、もっと直接的な寄付活動として「ルーム・トゥ・リード」への協力も行っていますが、こちらは回収した本などの利益が寄付になるという点で社会貢献的意味合いはより強いものの、コスト的な側面も強い取り組みです。
体力がある企業であれば、たとえそれがコストでも社会貢献活動を行うことは大切なことです。しかし、継続していくことはなかなか大変な上、同じ団体に継続して支援するということも社会への説明責任的に難しい側面があります。
しかし、このBOOK MAGICは、本業のシステムの一部をNPOと提携することで余分なコストや利益には影響を与えず社会貢献につなげているのです。この取り組み手法は見習うべき点が多々あります。
さらに、NPOにしてみれば、自分たちが営業すればするほど活動資金が増えること、継続して支援を受けてもそれは自分たちが努力した結果であって、スポンサー企業の意向に振り回されたりしないことなどのメリットがあります。まさにWinWinの協働スタイルなのです。
CSRは、アイディア次第で利益やコストをかけずに実行することができるものなのです。
そして、虎屋のように、会社が存続するために必要な取り組みとして実践できるものでもあり、決して義務的に行わなければならないものばかりではないのです。
ぜひ、皆さんの会社でも本業を活かした「攻めのCSR」というものを見直してみてください。それはきっと会社をさらに元気にしてくれることでしょう。
■ここがポイント■
1.本業を続けていく上で必要なCSRの取り組みはどの会社にもある
2.自社の存続と直接つながるCSRの取り組みに、無理なく継続できるCSRのカギが隠されている
3.アイディア次第でCSRへの取り組みは利益やコストに影響を与えずに展開できる
■こちらもぜひご覧ください—————————————
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