「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■見えにくいプロセスをブログで透明化する
前の号で、経営者トップのブログは対外的よりもむしろ社内に対してトップの考えを伝え、理解促進を図る手法として有効であることを書きました。
世の中で経営者のブログが徐々に増えている理由は、対外的に「こんな人間がやっている会社です。」と紹介する意味があるのはもちろんですが、それに加え、このような側面を持っています。
それは、結婚式における人前式のようなもので、社会に証人になってもらい、自社の理念や事業などを社員と共に共有するという作業です。
組織が大きくなればなるほど、トップの声は現場である社員に届きにくくなるものだけに、この方法は有効なのです。
社員から見ると「公の場に発信しているのだから、トップがここで語っているこれは本気なんだろう」と理解します。現に私の勤める日本財団では、それで成功しています。
このトップの本気の声を、メディアなどの編集が入らない生の状態で、しかもいつでも振り返れる状態で伝えられるブログは素晴らしいツールと言えるでしょう。
そして、もう一つ、とても重要な役割があります。
それが「プロセスを共有していく」というものです。たとえば、あるCSRを展開しようとした場合、「なぜわが社はそれをすることに決めたのか」という部分をきちんと理解してもらわないと、ただのボランティア活動で終わってしまいます。
CSRは、株主を含めた会社を取り巻く多くの関係者の理解なくしては実を結びません。本当に単なるコストと徒労で終わる可能性を持っています。そんなCSRはする意味がありませんし、それこそ株主に対して責任を果たしていないことになります。
したがって、トップの生の声に加え、それが決定される、実行されるまでのプロセスを透明化するためにブログで情報発信し、社内のみならず、社会に対して理解の幅を広げてもらいながら進めていく必要があるのです。
■プロセスの公開で理解者を増やす
プロセスの開示を会社のオフィシャルなホームページ上で行うのはあまり意味がありません。それはマンパワーや予算の問題もありますが、そもそもホームページに来る読者が、そのようなものを求めていないからです。
ホームページに来る読者は、やや一方的な情報としての「決まっている情報で自分の興味のあることを知りたい」のであって、未確定な情報やプロセスを知りたいわけではなく、コミュニケーションを求めているわけでもありません。
みなさんも経験があろうかと思いますが、ある法律や条例が「なぜそういうものが作られたのか」がわからないまま、ある日突然施行されるということが往々にしてあります。
この「結果」だけを知り、したがわされるという状態は、押し付けられ感だけが残り、納得感は少ない。主権を持つ私たちは、「なぜその法律ができたのか?」「なぜそのような条文になったのか?」というプロセスを知る必要があります。
そうでなければ、その法律の持つ意味やそれに従う必要性の理解の幅が狭くなり、行政との信頼関係を創ることなど不可能なのです。
したがって、本当は、行政こそこれらのプロセスを市民に知らしめ、コミュニケーションすることに意を用いるべきですが、行政はむしろどこまでもホームページ型の情報発信で終わり、私たち市民の不満足度は上がるばかりです。
会社のCSRは会社と社会との交流が目的ですからこれと同じことが言えます。
したがって、双方向性ツールでもあるブログでの情報発信が有効なのです。
その実現に向けた悩みや実施のプロセスを自らさらすことは、非常に勇気のいることですが、だからこそ共感を呼ぶことができるのです。
ぜひだまされたと思って、自社のCSRの取り組みとその決定までのプロセス、実行上の課題とそれへの「真剣な」取り組みを発信してみてください。きっとあなたの会社への理解者が、いつの間にか増えていることに驚かれることでしょう。
そして、そのようにして会社を理解してくれた人達は、さらなる伝道者として皆さんのCSRを知らないうちに広報してくれるでしょう。これにまさる広報はありません。
■ここがポイント■
1.ブログで社会を証人としてトップと現場が理念を共有する
2.CSRのプロセス開示は、ブログでの発信が一番
3.勇気をもって発信するCSR情報にこそ価値あり
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