■CSRレポートは専門家向け?
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自社のCSRを理解してもらうための最も効果的な手法は、「第三者から評価されること」、そのために「広告」ではなく「広報」が必要、と前々回に書かせていただきました。そして、人から評価されて広めるための社会との窓口ツールとして「CSRレポート」が大切、というのが前回の趣旨でした。
このCSRレポートが人から評価される場合、その評価をしてくれる「人」とは誰でしょうか? 現在、多くの企業が「CSRレポート」を作成し、配布しています。
これらを10社分ほど目を通すとはっきりと分かりますが、世の中に出されている「CSRレポート」は、専門家を読者対象として発行されているとしか思えない内容になっています。
CANPAN CSRプラスでは、社会的責任が大きい東証一部上場企業約1,700社のCSRに関する取り組みの情報開示度を調査し、ポイント化しています。この調査に関わった調査員、学生から社会人まで、の皆さんが口を揃えて言うのは、「CSRレポートは読みにくい」、です。
なぜ、多くの企業では、このような読みにくい「CSRレポート」を作成してし まうのでしょうか? その理由の一つは、GRI(グローバル・リポーティング・イニシアティブ)という組織が定めるCSRの世界的なガイドラインが世に広まっていることにあります。
■GRI日本フォーラム
http://www.gri-fj.org/
CSRというものは、企業活動の根幹に関わるとても広範なものを指すため、このような世界的な統一性のあるガイドラインが作られることはとても意義深いものがあります。昨年、この「GRIガイドライン」の第三版がリリースされ、話題を呼んでいます。
■GRIのガイドライン
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2007年に、世界を意識した各企業で作られる『真面目な』CSRレポートの多くは、この新しいガイドラインを満たせるよう、工夫を凝らして作られることは間違いありません。
しかし、このGRIガイドラインを読んでいただくとわかりますが、このガイドラインに沿ってそのままCSRレポートを作ると、学会の発表論文のようにならざるを得ません。したがって普段CSRと直接関わりのない方が読むには難解過ぎるのです。学会での論文発表が大切であるように、このガイドラインに沿って作られるCSRレポートにも意義はもちろんあります。
例えば、海外の機関投資家と呼ばれる人たちは、投資リスクの回避という視点で、このGRIガイドラインを重視、コンサルティング会社などにレポートの分析を依頼します。その結果を見て、この会社の株を買うべきかを判断します。
日本のCSRは、海外の機関投資家の意向を受けた調査機関からの「環境報告書」 の提出要請によって開花した経緯があります。「CSRレポート」が広報ツールとしてではなく、特定の専門家向け調査用資料となってしまうのはやむを得ないかもしれません。
しかし、海外投資家を意識せざるを得ない大企業にとって大変に重要なこれらの要素も、日本で大企業と呼ばれる企業数は全企業数のわずか0.3%です。他の99.7%の企業にとっては、必ずしもこのガイドラインの要件をすべて満たすようにCSRレポートを作らなければならないわけではありません。
しかし、ビジネスパートナーとして大企業と取り引きのある中小企業の場合はそうも言っていられないのが現状です。それは、「調達ガイドライン」というものを定める大企業が増えているからです。
■CANPAN CSRプラス(カンパン シーエスアール プラス)
http://canpan.info/csr/
☆──[ここがポイント]────────────────
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│ 1.多くの企業のCSRレポートは「専門家向け」である
│ 2.GRIというCSRの世界的なガイドラインの存在
│ 3.GRIガイドラインに沿ってそのまま作られたCSRレポートは難解になる
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