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東日本大震災当日の話 ~その2~

一時間ほどすると、外にいたCANPANセンターの皆も建物の中に戻ってきた。
まだこの老朽化したビルの中が安全だとはとても言えない状況ながら、外にいるのも安全とも言えないのが、都市の災害というものの恐いところでもある。

まだ退社時間には一時間近くも時間があったが、とりあえず表向きの業務は終了した。ここからは非常時対応の時間となることを覚悟した。

災害が起こってから72時間、それは被災した人を救出する上で最も重要な最初の時間帯だ。

この72時間までの間に、がれきの下敷きになって救助を待つ人などの生存確率は10%程度にまで下がる。つまり、72時間以内、しかもできるだけ早く救出しないと10人に9人は亡くなってしまうのだ。

しかも、天気を見れば、東北は相当な寒さ。しかも津波で濡れている可能性も高いとすれば、水分がさらに熱を奪う。
この夜を乗り切れるかどうかというほどに切迫した状況下で事は推移していると言わざるを得ない。

この間、実は民間レベルで支援できることはほとんど皆無と言っていい。
軍隊(自衛隊)や警察、消防など、専門部隊の作業を邪魔しないことくらいしかできないのだ。

とすれば、自分達が今すべきことは何か?

それは次に来るであろう、市民活動として被災地支援のために多くのNPOやボランティアが活動する資金を調達しておくことだ。

被災地支援は、阪神淡路大震災や中越地震を見ればわかるとおり、国や行政だけでは成り立たず、NPOやボランティアが本当に大変なところを担う。

そして、今回も多額の「義援金」が被災地のために寄付されるだろう。

しかし、この「義援金」は、これら被災者のために必死で活動するNPOやボランティア達には一円も使われないのだ。

それは、皆、長い時間をかけた後、被災者に渡される。
だから、これはこれで必要なお金には違いないのだが、今、困っている被災者のためにはならないという意味で非常に残念な制度なのだ。

だから過酷な環境で支援にあたるNPO達は自腹で被災地に向かうことになる。

それを防ぐための方法、それはCANPANとしてNPOの活動資金となる募金を一刻も早く集めることだ。

ということで、CANPANペイメントを担当するマネージャーの高島さんと相談し、一気に「東北地方太平洋沖地震支援基金」を立ち上げたのである。