このタイトルの本について知っている人の多くは、おそらくマンガのほうをご存じなのではないかと思う。
実際には、光瀬龍という作家が書いたこのSF小説が原作となっている。
私はこの光瀬龍という作家が大好きで、彼の書いた本のほとんどを持っているのではないかと思う。
自分が高校生の頃からちょっと入手が困難な本が多く、古本屋では必ずチェックしていた(笑)
(それが今や、アマゾンでいくらでも買えてしまうのだが、値段が高いのは良くない。聖飢魔Ⅱのバンドスコアとか2万円近くするし)
今年は彼の没後10年にあたり、その年に「興福寺阿修羅展」が人気を博したのは不思議な感慨がある。
阿修羅王を悪としてではなく、主人公の仏陀の悩める自己の投影的存在として描いた彼の構成力に本当に感動したものである。
自分の仏像趣味の中でも、最も阿修羅王像が好きな理由の一つもこの小説の影響があることは間違いない。
また、彼は本当に博学で、生物学や古典に至るまで、あらゆるジャンルに興味を持った人のようで、それぞれの分野に著作がある。
SFという突拍子もない世界のアイディアがそれらの融合によって生まれていたであろうことは想像に難くないが、今の社会課題解決のアイディアもそのようなところにヒントがあるようにも思う。
光瀬龍氏のSF作品で私のおすすめは、「喪われた都市の記録」という本。
なんだかとても奥が深い作品である。