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オタクと宗教について考える

久米繊維工業株式会社 社長の久米さんからありがたいお誘いをいただいて、「オタクについて、ゆるくも真面目に考える」勉強会に参加させていただいた。

勉強会のタイトルは、勉強会の正式名称自体がまだ決まっていないこともあって、とりあえず勝手にそんな感じの勉強会だったという名前を名づけただけなのでご容赦ください。。。

最初に「オタク市場の研究」という本を出版された野村総研さんからのお話しを伺い、その後ディスカッションを行った二時間であった。

そこで説明を受けたマーケットを活性化させるためのフレームとして、

イベント
聖地
伝説

という三要素が必要という話がとても興味深かった。

マーケティングフレームとして、通常の4Pに加えた3C、「収集(Collection)」、「創造(Creative)」、「コミュニケーション」という3つを加えたものをメインとして、先述の三要素はその補助フレームという位置付けであった。

参加者から「オタク市場の場合、補助フレームの三要素がむしろメインではないか」というご指摘があったが、これは私も全く同感であった。

それはさておき、この三要素としてのキーワード、私は宗教を連想した。他の参加者からもコメントがあったので、宗教を連想したのは私だけではなかったようだ。

浄土真宗という、現代では曹洞宗に次いで信者が多いと言われる宗派がある。親鸞が開祖の宗教であるが、この浄土真宗は、戦国時代に織田信長と戦った一向一揆の元締め、本願寺蓮如が出現しなければ現代まで伝わらずに消えていた可能性もある宗派である。

この蓮如は、まさにこの三要素を布教に使い、風前の灯であった浄土真宗を現代につながる隆盛に導いている。オタクの市場理論と蓮如の行為が完全に重ねうるのは、心の傾倒というオタクと宗教とに共通する要素が濃いからであろう。

さらに思う。

日本人は無宗教だと言われる。
たしかに宗教という視点で見てしまうとそうかもしれない。しかし心理学的に見ると、もしかすると著しい多様性があるだけで、一人一人が心にオリジナルの宗教を持っているだけかもしれない、とふと思った。

要は崇拝しているものが宗教的な神以外の何かというだけの話で、それが今回の勉強会の中で出たモー娘でもいいだろう、鉄道でもいいだろう、ポケモンでもいいのかもしれない。

行動様式の多様化と共に、八百万に神が存在するとした日本人が古来から持つ許容性がオタクという形でさらに顕在化、心のよりどころが宗教上における神ですらなくなっただけではないのか?

とすれば、日本人は世界が理解できないだけで、とてもユニークな宗教観を有していることになる。
その宗教観が今、「Japan Cool」として世界にもてはやされる「オタク」への憧憬の原動力になっているのではないか? そうすると、あの熱狂性も理解できる。

全然話は逸れてしまうが、先日、真言宗の総本山「金剛峯寺」の東京別院でマンガ「北斗の拳」の主人公の兄「ラオウ」の葬儀がしめやか(?)に行われ、3000人のファンが追悼したそうで。。。マンガの設定として、「北斗神拳」は一子相伝、それを日本に伝えたのが空海の弟子なので真言宗ということで。。。うーん、生きていて楽しい時代である。

それさておき、「オタクは日本の宝」と締め括った野村総研さんのお話しには深く首肯できた私でした。貴重なお話しをありがとうございました。

写真は「石橋美術館」のHPよりお借りした「「丹霞焼仏(たんかしょうぶつ)」の図(国宝)

なぜこの絵なのかわかったオタクな方、ぜひコメントください。