古代エジプト文明にご興味をお持ちの方は多いので、ご存知の方も多いと思いますが、最近、この分野における発掘成果と研究はめざましいものがあります。
それらの研究成果の中で、特に面白いなぁと思うのは、ピラミッド建設に従事していた人たちの実態
自分が小学生の頃は「ピラミッドは何万人もの奴隷によって作られた」ということが当たり前の話になっていて、図鑑の挿絵には灼熱の砂漠で鞭打たれながら巨石を運ぶ奴隷の皆さんの過酷な労働環境が地獄絵図のごとく描かれていました。
しかし、実はピラミッドは公共事業として、農閑期に働く場所が無い国民を救うためにファラオ(王)が手がけた一大プロジェクトとしての性格を持ち、そこで働いていた人たちには住居や食事(お酒も!!)が与えられ、二日酔いで休んだり、親の法事でお休みしたりということも公認の労働者であった、というのです。あの挿絵とは180度違います(笑)
それは、いわゆる勤怠簿が発見され、そこに書いてあったことからわかったのですが、紀元前4000年も前にそのような労働環境がすでに確立していたということにエジプト文明のすごさを思い知らされました。
そして、そんな古代エジプト研究の成果を公開する今回の展覧会、数々の研究成果の集大成の一つとして、ミイラにCTスキャンを使って、それを3Dで映像化したものが見れるというのです。
これは行かなければと、国立科学博物館で開催されている特別展「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」を観に行きました。
従来、ミイラは棺から取り出し、体を覆う布を取り去ることでしか調査できず、その際にミイラを傷めてしまっていました。さらに時代を遡れば、ヨーロッパではミイラから布を取り去って、極端な場合、解体することを見世物として興行していたそうです。
それが、今はミイラに全く触れず、CTスキャンをかけるだけで、その人物の死因までを特定できるほどの精度で調査ができる時代になり、ミイラは人類共通の大切な遺産として扱われるようになっているのです。
時代も変われば変わるものです。
で、展覧会の話に戻りますと、ネスペルエンネブーというファラオのミイラの3D映像は見ごたえがありました。ぜひご覧になることをお勧めします。
その他の展示品は、あの映像が見れたからいいか。。。という感じで、「あまりこれは!」、というのはありませんでしたが、それはまあ贅沢かなと、思いましたです。
【上写真は公式HPからお借りしました】