人気爆発中の「ウルビーノのヴィーナス展」を観に国立西洋美術館へ
世の中は黄金週間、混んでも仕方がないのだが、半端なく混んでいた・・・
会場の中にも間違っている人がいてびっくりしたが、ヴィーナスを描いたのはウルビーノではない。
ウルビーノというのは、このビィーナス画の制作を発注した公爵の名前で、ウルビーノ公の自宅の寝室に飾られていた絵なのでそのように呼ばれているだけの話。
実際にこの絵を描いたのは、ヴェネツィア派の代表、「画家の王」と呼ばれたティツィアーノだ。
行ってわかったのだが、この展覧会のテーマは、ティツィアーノをテーマにしたものではなく、西洋美術におけるヴィーナスの変遷を追ったものだった。
「なるほど、それは面白い」と思ったのだが、あまりの人の多さにめげてしまい、カメオとか綺麗な装飾が施された煙草入れとか、そういうのはほとんどチラ見でやり過ごした・・・
だが、展覧会の目玉であるティツィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」だけは、なんとか目の前に行って眺める。
彼の特徴は、人の肌の質感の表現力とその表現力を活かした人物の表情と言われている。
彼の絵の代表作を見るのはこれが初めて。その質感と人物の存在感に圧倒される。
人肌の質感をここまで表現できる技法はまさに「画家の王」たるにふさわしい。
この絵を観に来るだけでも価値のある展覧会と言えたが、考えてみると、ヴィーナスという存在は芸術という側面よりもむしろエロティシズムと深いつながりの歴史を持っている。
ここで、もし「ウルビーノのヴィーナス」が芸術ではないと仮定すると、上野公園の入口とかJRの駅のホームにどどーんと裸の女性が横たわっているのを皆で眺めているという話になるわけで、すごい話だ。
という、どーでもいいことを考えながら、もうちょっと空いている時に来たかったと思いつつ、美術館をあとにした。