■今年のCSR No.1企業が決定■
昨年、第一回が実施された「市民が選ぶCSRプラス大賞」、今年は第二回目として2008年11月7日(金)に東京都港区の日本財団ビルにて表彰式が行われました。
○第二回 CANPAN CSR大賞 表彰式○
http://blog.canpan.info/csraward_2008/
CANPANによるCSR大賞のユニークな点は、
1)市民が選ぶ(Webによる投票)
2)大企業と中小企業が同じ土俵で勝負する
という二点です。
○CSR大賞 実施方法詳細○
http://blog.canpan.info/csraward_2008/archive/4
この場合、大企業というのは東証一部上場企業を指します。
この東証一部上場企業のうち、CSRに関する情報の開示度が高い企業10社と、日本各地からノミネートされた中小企業10社の合計20社から市民に最も心に響いた企業の「CSRの取り組み」に投票してもらいました。
○CSR大賞ノミネート企業一覧○http://blog.canpan.info/csraward_2008/archive/57
この市民目線での投票の結果、全投票者の10%近い得票を得て、グランプリに輝いたのは愛知県でタイル業を営む「有限会社 ワッツビジョン」でした。
従業員(正社員)がわずか10名弱の会社です。CSRの取り組みも大企業と比較にはならないほどささやかなものです。
したがってCSRの専門家と呼ばれる方々による選抜であれば、おそらくノミネートすらされなかったかもしれません。
そのワッツビジョンがグランプリに選ばれたポイントは何だったのでしょうか?
以前、企業が取り組みたいCSRと市民が企業に望むCSRとには、ギャップがあるということを書きました。
それは以前に環境gooが調べた調査結果からも読み取ることができます。
○環境goo 読者(市民)と発行者(企業)の優先順位の対比○
http://eco.goo.ne.jp/business/marketing/er/enq04_6.html
そのギャップを埋める、またはお互いの理想とする状態を可視化するためのシンボリックなイベントの一つとして、このCSR大賞を実施しています。
その象徴的なワッツビジョンの受賞、主催者である私たちもその理由について深く考えるきっかけをいただけました。そして、ワッツビジョンが市民に訴求できたことと、今の日本企業が抱えている本質的な問題は、決して無関係ではないのです。
ここに、自社のCSRの取り組みそのものをどうするか、そしてそれをどう広報するかのヒントが詰まっています。
■従業員へのCSRこそが求められている■
ワッツビジョンのCSRの取り組みを紹介したページをぜひご覧いただきたいのですが、ワッツビジョンのCSRの取り組みは、実は他の企業と比べて突出して優れている、というわけではありません。
○有限会社ワッツビジョン○
http://blog.canpan.info/csraward_2008/archive/34
その中で、最も優れている点は、「従業員との約束」を経営者がきちんと果たしているという一点なのです。
つまり、経営者が従業員に対して愛情を持って接し従業員を大切にしながら仕事を行っている、ただそれだけです。
それは、逆に言えば、そのような当たり前のことができていない会社が世の中には多いということかもしれません。
それを裏付けるデータは、CANPAN CSR プラスというサイトの企業のCSRの取り組みが一覧できるデータベースで見つけることができます。
○CANPAN CSR プラス データベース○
http://canpan.info/csr_list_search.do
ここでは、1900社近い企業(メインは東証一部上場企業)のCSRに関する情報開示度と、その取り組み内容が48項目で一覧できます。この48項目の中で最も開示度が低い、または取り組みが弱いのが「従業員に対するCSR」なのです。
それを徹底してやっている会社、それがワッツビジョンだったということで、企業の取り組みが最も遅れている部分と市民が企業に求めたい部分とのギャップ、それがそのまま投票結果に結びついていたのです。
この受賞内容は、地元愛知のケーブルテレビをはじめ各メディアに取り上げられ広められます。また、今後、様々なところで引き合いに出されていくことでしょう。
そして、結果として、ワッツビジョンという会社のブランディングにつながっていきます
これこそが、CSR広報の一番スマートな形です。
CSR広報は、自画自賛系なので展開が非常に難しいわけですが、それを嫌味なく最も効果的に行うために、利害関係の無い第三者に評価してもらう以上のものはありません。
グランプリは、年一回しか選ばれませんので、自分たちの会社でそれを狙いたくても・・・ということになるでしょう。
しかし、たとえば、商工会などが各地域でそのような賞を行政と組んで設定し実施することで同じような効果を創り出すことはできます。
ぜひ、皆さんの地域でも同じような表彰の制度を作ってみてはいかがでしょうか?
有限会社ワッツビジョンさん、グランプリ、本当におめでとうございます!
そして、情報開示部門で金賞を受賞された大阪ガス株式会社さん、同じ部門で銀賞受賞、昨年グランプリのサッポロホールディングスさん、地域部門で金賞受賞の一正蒲鉾株式会社さん、銀賞のサラヤ株式会社さん、各社のみなさまも本当におめでとうございます!
次回は投票者の市民の皆さんのアンケート結果について考えてみたいと思います。
☆ここがポイント☆
1.市民が会社に望むCSRの取り組みは従業員へのCSR
2.第三者に評価してもらうことがCSR広報の最も効果的な手法
3.地域でのCSR表彰制度で地元企業を元気にする