前回は自衛隊の方を取り上げたので、今度はハイパーな兄ちゃんです。
やはり阪神・淡路大震災の現場、たぶん東灘区だったと思いますが、忘れました。
ボランティアとして現地入りしていた学生の一人に、茶髪で耳にはピアス、背中に巨大なドクロマークのついたブラウンの革ジャンを着た兄ちゃんがいました。
その風貌どおり、彼は大のパンク好き、「セックスピストルズ好きっすよー!」と彼は盛り上がってくれました。
夕方四時、彼はいそいそとどこかに出かけるそぶり。
「あそこのマンション、エレベーター壊れて動かないんですけど、8階に一人暮らしの婆ちゃんがいるんですよー。一日二回は朝と夕方、通院しないといけないんで、おぶって階段を登り降りして連れてくんです。」
ちょっと待て。そんなの全然パンキーなお前に似合わない。しかも毎日ってどんだけたいへんなことをやってるんだ・・・それをそんな爽やかに言うな
「だって、足が不自由な一人暮らしで8階ですよ、見捨てられませんよー!大学はー、どーでもいいっす。たぶん留年すねー、ハハハ」
君はジョニー・ロットンの1000倍くらいカッコイイ。
社会に背を向けて反旗の歌を歌うのはある意味イージーな生き方だ。だけど毎日婆ちゃん背負うために大学に背を向ける君の生き方は超パンキッシュでしびれる。
大学の成績は君を悪く評価するかもしれないが、君の価値はそんなもんじゃ計れやしない。
ふつう、婆ちゃんとしては、背中ドクロの革ジャンに背負われるのは心情的にはかなり辛いものがあると思うが、君の背中が彼女にはどんなにか頼もしく見えていたことだろう・・・
あれから10年、今の君に会いたい。