■広告媒体としてのCSRレポート
各企業が毎年発行している「CSRレポート」、皆さんの会社でも発行されていらっしゃるでしょうか?
下記のサイトにて、2008年度として発行された東証一部上場企業各社のCSRレポートの情報開示度の一覧を公開しています。
■CANPAN CSR プラスデータベース■
http://canpan.info/csr_list_search.do
大企業が中心ではありますが、各社が発行した2005年度から2008年度発行のCSRレポートの情報開示度がわかります。
このデータベースの2008年度の調査からわかることは、各社が発行するCSRレポートに記載されている内容の変化です。
環境に関する取り組みの報告や社会的な世相を反映した従業員のワークライフバランスなどCSRレポートのガイドラインに則って書いているレポートであれば、言及している項目には違いはほとんどありません。
しかしながら、その表記に関する質的な部分は、特にここ2、3年で大きく変わり、より具体的な表記に変わってきています。
その理由の一つは、もちろんGRIのガイドラインの改訂ですが、それに加えて、このCSRレポートを就職活動のセミナー時に配布する企業が増えていることが挙げられます。
つまり、「わが社はこんなに働きやすい会社です」というアピールのための媒体としての色彩が濃くなっているということです。
これはCSRレポートとしての質的な価値も同時に高まっているので評価できる一方、あまりにキレイにまとまってしまっていて、レポートではなく本当に単なる広告媒体になってしまっている点が気になります。
■レポートはレポートであるべき■
CSRレポートを広告媒体としても使おうとするのであれば、むしろベタな情報も同じようなトーンで書いておくことが重要です。
なぜなら、レポートはあくまでレポートですから、客観性がまず何よりも優先されなければならないからです。
客観性のない単なる広告媒体としての冊子にCSRレポートというタイトルを付けてしまうのは、CSR報告書を読む読者層がコアな方々だということを踏まえれば、わが社はCSRを理解していませんと自ら宣伝しているようなものです。
お客様からのクレーム対応内容までを丁寧に記載しているCSRレポートに価値があると評価されるのはそのためです。
つまり、CSRレポートに関して言えば、ネガティブな情報を敢えて載せる勇気を持った会社が評価されているということであり、「この企業は社会に嘘を言わない会社だ」と読者に思ってもらえるのです。
社会から信頼を得るための広告媒体としてのCSRレポート。この視点でレポートを作るのは、コストをかけてCSRレポートを作成する上で、有効であり、単なるレポートだけではない付加価値を付けることができます。
しかし、純粋な広告媒体とは求められているものが本質的には違う、ということを理解した上で「さじ加減」を調整することを忘れないようにしてください。
☆ここがポイント☆
1.CSRレポートの内容に質的変化あり
2.CSRレポートを就活学生のPR媒体に使う企業が増加
3.信頼を得るための広告媒体としてCSRレポートを活用