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新しいマーケットの開拓は戦略的なメセナ活動から生まれる【オルタナ総研所長コラム】

※弊社代表の町井による「オルタナ総研所長コラム」

◼タイトル
新しいマーケットの開拓は戦略的なメセナ活動から生まれる
https://www.alterna.co.jp/157458/

■記事のポイント

企業が文化活動などを支援するメセナ活動はバブル崩壊を機に縮小したのか
本来、メセナ活動は「新しい価値を創造する」ための取り組みだった
新たな市場を開拓するためには、戦略的なメセナ活動への回帰が近道だ

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日本社会における企業メセナ活動の歴史を振り返ると、1980年代後半から90年代にかけて隆盛を誇り、バブルの崩壊と共にシュリンクしてしまったという印象を持っている方が大半ではないだろうか。これはまぎれもない事実なのだが、では、それまで約10年にわたって企業が取り組んできたメセナ活動自体の価値もバブルと共に棄損してしまったのだろうか。今回はそんな視点をみなさんとあらためて共有したい。

メセナ活動は、定量的に効果を計測することが難しい領域が多い。そのため、短期的な視点でその効果・成果を測定しようとすると可視化することができない。「なぜわが社はその活動に取り組むのか」という点で社内あるいは社外に対して納得してもらえる説明が難しいことが課題の一つでもある。企業のメセナ担当者はこの点でずっと苦労されてきたと思う。

そのような事情から、企業の業績が良く余裕がある時には、価値が可視化されていなかったとしても余白的に活動が許されるという状態が続く。しかし、いったん業績が悪化した場合には、コストカットの最初のターゲットになりやすい事業となってしまう。

これは、企業によるメセナ活動として致命的とも言える脆弱性であって、その意味でもメセナ活動もまた「失われた30年」となってきたと言えるかもしれない。

■メセナ活動は単なる社会貢献活動ではない
■メセナ活動が価値創造の「土壌」を育んできた
■本業以外での社会との接点が革新につながる

この脆弱性がなぜ生まれてしまうのかという点は先述のとおり定量的な説明が難しいことが根底にある。一方で、それは企業としての戦略の中にメセナ活動が位置づけられてこなかったということの裏返しでもある。

その点で、企業のメセナ活動が、企業の余力の一部を使って実施する社会貢献活動というような誤解をされてきたことは、社会的に見て大きな損失だったように思う。

本来、企業のメセナ活動は「新しい価値を創造する」ということを期待されてきた活動の一つなのだが、当時、どれだけの企業がそれを理解してメセナ活動をしていただろうか。

■メセナ活動が価値創造の「土壌」を育んできた

日本企業は長らく様々な領域において新しい価値を創造してきた。特に強かったのは言うまでもなく「ものづくり」の領域だが、今、その力も影響力もかつての勢いは無い。

その点で、「JAPAN AS No.1」の時代と共にあった企業メセナ活動は、実は私たち自身が評価していた以上に新しい価値を創造する土壌を開墾していた可能性がある。

もう少し当時のメセナ活動に関する情報を整理して分析することでそれが可視化できるように思うので、それは後日の宿題とさせていただきたい。が、この新しい価値を創造するための発想の起点や会社の文化や雰囲気をメセナ活動は創り出すことに貢献してきたように思う。

■本業以外での社会との接点が革新につながる

今、各企業が新しい事業を生むための取り組みとして副業を認めるといった社員の業務変革を進めている。その理由の一つとされるのが「本業以外の部分で社会との接点を増やすことで本業に新しい発想の源泉を生む」ということだ。

これは企業メセナ活動と同じ視点であり、組織としての取り組みではなく社員一人ひとりという違いはあるが、原点回帰しているとも言える。

SDGsに取り組むことが企業として当たり前の時代、「ビジネスで社会課題を解決する」ということも当たり前に語られるようになっている。それは素晴らしいことだし、もっとそれが進んでほしいと思う。

そして同時に、これからの時代に価値を持ち得るといわれる「文化」や「体験」という領域に対して高付加価値のある新しいマーケットを創出したいという企業は、単なる社会貢献活動ではない、戦略的なメセナ活動に回帰することがその近道となるように思う。

◾️メセナ活動実態調査(公益社団法人 企業メセナ協議会)

■オルタナ総研