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COP30で「適応指標」、日本のサステナ戦略も大きく変わる【オルタナ総研所長コラム】

※弊社代表の町井による「オルタナ総研所長コラム」

◼タイトル
COP30で「適応指標」、日本のサステナ戦略も大きく変わる
https://www.alterna.co.jp/163156/

■記事のポイント

COP30は気候危機に向き合う場だが、今回も明確な「脱・化石燃料」は掲げなかった
だが、異常気象などへの「適応」を測る指標に合意したことは画期的だ
日本企業にとっても、サステナ戦略を見直す重要な転換点ととらえるべきだ

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ブラジル・ベレンで11月22日に閉幕したCOP30は気候危機に向き合う場となったが、今回も明確な「脱・化石燃料」のメッセージは打ち出せなかった。しかし、異常気象などへの「適応」の進捗を測る指標づくりに合意したことは画期的だ。日本企業にとっても、自社のサステナ戦略を見直す重要な転換点ととらえるべきだ。

ブラジル・ベレンで開いたCOP30は、「1.5℃目標」の達成を掲げたパリ協定の策定から10年、SDGsの目標年である2030年が5年後に迫るという中で国際社会が気候危機に向き合う姿勢について改めて問う場となった。

最大の焦点は、COP28でようやく合意された「化石燃料からの脱却」に向けた具体的な削減ロードマップが示されるかだった。だが、これは最終的に合意文言から消えた。

195カ国が合意した「ムチロン合意」や、森林保全・適応支援を前進させる「ベレン・パッケージ」には一定の評価をすべきだ。だが、具体的な数値目標や期限が見送られたことで単なる宣言に過ぎないという批判を避けることができない内容となってしまったのは残念だ。

■各国の経済的構造が国際交渉を困難に
■異常気象への「適応」を測る指標を合意へ
■自然資本が本格的に評価される時代に

最大の争点だった化石燃料のフェーズアウトが明記されなかったという事実が示すのは、各国の政治・経済的構造や既得権益がいかに国際交渉を困難にしているかということだ。

気候資金の拡充について適応支援の「3倍」という方向性は掲げられたものの、具体的な負担の在り方やロードマップは示されなかった。先進国のコミットメントに対する途上国の不信を解消するには程遠く、課題は積み残されたままだ。

その一方、COP30がベレンというアマゾンの最下流にある街が舞台であったこともあり、生態系保全、先住民族の知、自然資本と経済の統合がこれまで以上に強調されたことは大きい。

■異常気象への「適応」を測る指標を合意

特に災害・異常気象・生態系変化などへの備え・回復力強化などの「適応」の分野における進捗を測る「ベレン適応指標」が決定されたことは画期的だ。

これにより気候変動への適応、グリーンインフラ、ネイチャーベースド・ソリューションといったテーマがもはや周縁的な議題ではなく都市計画、自治体政策、企業戦略、地域振興の中核をなす要素として不可逆的に組み込まれつつあることが明示された。

■自然資本が本格的に評価される時代に

これは日本にとっても重要な転換点と考えるべきだ。これらの動きは国際的に自然資本が本格的に評価される時代に入ったことを示している。自然に恵まれつつ優れた都市機能も有する日本だからこそ、森林、水系、農地、文化的資源などをどのように再編成し、持続可能な取り組みをしていくかが問われることになる。

具体的には、人口減少社会における効率的な都市の再開発の手法や駅直結施設などの文化的リデザイン、企業のサプライチェーン転換、地域住民のレジリエンス強化などいろいろな取り組みが想定できる。

次の10年で私たちがどのような未来像を描き、それを日本社会においてどのようにモデル化できるかは、世界からの注目を集めることができるという点で大きな機会につなげられる可能性がある。

国家間の交渉が難航する今だからこそ、都市、自治体、民間セクターといった「非国家主体」の役割が重要であり、各セクターによる協働が求められている。