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「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートを【オルタナ総研所長コラム】

※弊社代表の町井による「オルタナ総研所長コラム」

◼タイトル
「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートを
https://www.alterna.co.jp/161361/

■記事のポイント

「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートすることが重要だ
災害発生直後に連続して別の災害が起こるリスクが高まっている
地域の備えを総合的に見直すことが「住み続けられるまちづくり」に必須だ

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「住み続けられるまちづくり」に欠かせないのが、防災意識のアップデートだ。災害発生直後に連続して別の災害が起こるリスクが高まっていることが背景にある。「災害は災害を連れてくる」という認識へアップデートすることが重要だ。

2024年元旦に発生した能登半島地震は「家族が地元に帰って集まるこの時期に」とタイミング的にもショックの大きい災害だった。その復旧すらままならない中、夏には同地域を豪雨が襲った。被災地域を異なる災害が立て続けに襲うという悲劇に大きな衝撃を受けたが、その豪雨から9月で1年が経つ。

記録的な猛暑となった今夏、石川はもちろん、同じ日本海側の秋田や青森、そして鹿児島や熊本などの九州地方でも記録的な大雨による被害を受け、政府は12県に激甚災害指定をする方針だ。

9月に入っても都内でゲリラ大雨により広範なエリアで冠水が発生、電車が停電で停まるなど、高度インフラを持つ都市と豪雨の相性の悪さを象徴する災害が続いている。

国土交通省の水害統計調査2023によると、2011〜2020年の10年間で全国の市町村の約98%が水害経験ありと回答しており、日本全体が水害と無縁ではないということがわかる。

同じように世界でも水害は頻発している。ロイターがまとめた世界48ヶ国で2024年に起きた水害の写真を見れば、水害のすさまじさ、恐ろしさと共に、その被害の深刻さをあらためて認識させられる。

気候変動がもたらす災害はもちろん水害だけではない。干ばつや熱波、乾燥に伴う森林火災など、あらゆる災害が起こっている状況にわたしたちは日々直面している。

日本はこれまでも災害に対する備えに真摯に取り組んできた国の一つだ。しかし、高度経済成長期につくられたインフラが一気に老朽化し、さらに人口減少による財政縮小などによりインフラの更新ができず、災害に対するレジリエンスが脆弱になっている地域が増えてしまっている。

■「マルチハザード」への備えを
■避難所の「暑さ対策」も欠かせない
■「地域防災」は共助があってこそ

これら複合的な要素を踏まえ、わたしたちがあらためて認識すべきは、今後、1つの災害のあとに連続して別の災害が起こるリスクが高まるという「災害は災害を連れてくる」という事実だ。

このような連続性・複合性のある災害発生を定義、課題として取り上げた複合的リスクは「マルチハザード」と呼ばれる。マルチハザードについては、2022年に世界気象機関(WMO)と国連防災機関(UNDRR)が「世界のマルチハザード早期警報システムの現状:ターゲットG」という報告書を発表している。

このマルチハザードの考え方は、この10年ほどの間に認識が高まってきたもので、日本では東日本大震災以降、特に意識されるようになった。それまでは一つ一つの災害と対応を考えることはあっても、立て続けに起こるマルチハザードを一連の災害として想定した防災に対しての意識は少なかった。

■避難所の「暑さ対策」も欠かせない

このマルチハザードが定義する範囲は多岐にわたる。地震に伴う津波や火災、大雨による土砂崩れなどは同時に発生するためイメージしやすいが、地震に伴う避難所での健康被害や水害後の疫病の流行など長期にわたって連鎖的に起こるものもマルチハザードに該当する。

例えば、先日のカムチャツカ地震による津波に備えて岩手県で避難が実施された際、指定避難所である体育館に冷房設備がない場合があり、暑さへの対応が課題として報じられた。かつて岩手の夏は冷房が不要とされてきたが、近年は気温が上昇し、日中は冷房なしでは健康を害するほどの暑さになることも少なくない。

■「地域防災」は共助があってこそ

本来「安全の場」であるはずの避難所が、猛暑とかけ算されることで熱中症や体調不良といった二次的なリスクとなり得る。これもマルチハザードの一例だ。他にも、復旧が長期化すれば観光や農業といった地域産業へも波及し、地域の持続性が脅かされることになる。

こうした連鎖的な災害はいつでも発生しうるし、これまでも起こってはいた。しかしそれを前提とした地域の備えや認識は不十分であり、これを総合的に見直すことがSDGsでも目標とされている「住み続けられるまちづくり」の上では必須といえるだろう。

そして、これらの対応を国や行政に頼るのは限界がある。人口減少に伴うレジリエンスの低下を踏まえれば、国や行政の力だけでカバーするのは不可能だからだ。災害の種類や規模の変化に対しての多面的な予測、そしてどのような対応をどの規模で行うのかについて知見を増やすと共に、何より産官民学の連携強化が求められる。

そのためには、当該地域に住む市民や企業などによる「地域防災は地域が一丸となって取り組む」という思考と姿勢、そして仕組みの強化が必要だ。

しかし現状は、特に都市部において地域同士の関係性は希薄化、町内会なども高齢化や形骸化してしまっており、このような災害に対する認識の共有化は逆行している。その意味では目に見えない形でマルチハザードにおけるリスクが上がっていると言わざるを得ない。

そのためにも地域コミュニティの再構築が重要だが、地域コミュニティを昔のように戻そうとすると失敗するだろう。社会が変わるように地域コミュニティのあり方も変化しているからだ。

わたしたちが意識すべきは「時代に合った地域コミュニティを構築すること」であり、そのプロトタイプを作っていくことである。これは容易なことではないが、高度インフラを持つ社会における人口減少という未知数の未来に向け、わたしたちがやらなければならない重要な取り組みの一つである。