2007.06.11
「スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。
その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。
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■企業理念の中にあるCSR■
講演で地方を回った際、「CSRは、大企業じゃないとなかなかやれないよ。中小はそんなことに体力を使ってる余裕が無いんだから」と経営者の方から言われます。この言葉を聞く時、いつも「誤解があるなぁ・・・」と感じます。
実はCSRは社長が社員一人一人の顔を覚えられるくらいの規模の企業こそ主役となれることなのです。先ほどのコメントが出る背景には、「CSR=コストがかかる」と思われていることが上げられます。
つまりISO14001の認証と同じと思われてしまっているわけです。日本でCSRという言葉が流行りはじめた背景に、海外投資家からの「環境報告書の提出要求」がベースにあったことは以前書きました。
そのため、「CSR=環境への配慮→金がかかる」という図式ができあがり、体力の無い中小企業ではとてもCSRなんかやってられないという言葉に行き着くということになるのでしょう。しかし、CSRとは環境への配慮だけを指す狭範なものではありません。
多くの企業が掲げる「高邁な企業理念の実践の中にCSRは含まれている」とこれも以前に書きましたが、企業理念を実践していれば、その中に「CSR」は含まれているのですから、それはコストという考え方とは結びつかなくなるはずです。
この企業理念の実践について、今、多くの大企業が苦しんでいます。つまり、企業の規模が大きくなればなるほど、理念の実践が経営者の求めるそれと乖離してしまっているのです。最近多発するブランド力のある大企業の不祥事はそれを如実に物語っています。
なぜなら、大企業の社員は社長から直接、企業理念の考え方を感じる機会などほとんどありません。社長の声はいくつかのフィルターを通じて伝わってくるのみです。その結果、往々にして言葉の重みも意味も変質した状態で社員に伝わってしまいます。
■企業理念とCSR■
一方、社長の声が工場の隅にまで直接届くような企業の場合、社長の熱い考えを社員は直接感じることができます。自らが掲げる経営理念がどう実践されているかを社長が常に体感することもできます。
このメリットは大企業では決して真似することのできない貴重な宝です。社員一丸となって進む経営の中にこそ本当のCSRの有り様が隠れており、社長が、社員に対してこのCSRを具体的に見せてあげることができるのです。
社員にとって、「自分の会社が社会の役に立っている」、「自分たちは会社から大切にされている」と感じながら働けることは、働くモチベーションを大きく上げる要素ですが、経営者から直接これに関連する言葉を聞くことほど心に響くことはありません。(もちろん言っていることとやっていることが違うのでは逆にマイナスになるだけですが、そのような企業はそもそもCSRが企業内に存在していないので論外です。)
つまりCSRの広報はまず、社長から従業員へ熱く企業理念を伝えることから始まるのです。そして、それができるのは企業の規模があまり大きくないほうが効果的です。
企業理念の共有化によって社員一人一人にどうしたら自分たちの仕事が社会の役に立てるかを考えさせた時、組織の中ではすでにCSRの芽が立派に育っているのです。
CSRの広報という時、外に向かって自分たちのCSRを理解してもらうことを考えてしまいますが、CSRを世に知ってもらう前にまず、まず社員に自社の企業理念を理解してもらうために何をすべきかを考えてみましょう。
企業理念への理解と、それを実践するために社員一人一人が何をすべきかを自ら考えて動き出した時、その企業はとても強い組織になります。外からはとても勢いのある組織に見えるでしょう。
そして、その勢いの源が何かを社会は知ろうとし、実はその根底にCSRがつながっていることを発見してくれます。それこそが最も効果的で、質の高いCSRの広報なのです。それはCSRという言葉で表現されるものではないかもしれません。
しかし実は、結果は一緒なのです。次回の号で、私がウェブマスターをしている「公益コミュニティサイトCANPAN(カンパン)」での就職を意識している大学生へのアンケート調査結果で、それを見ていきましょう。
■ここがポイント■
1.CSR=コストではない。
2.企業理念の中に最初からCSRは存在する。
3.対外的なCSRの周知の前に社員に企業理念を理解させる。
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2007.05.30
オジー・オズボーンのニューアルバムが出たので思わず衝動買いしてしまった・・・
日本発売としては前作「DOWN TO EARTH」から、なんと6年ぶりのニューアルバム「BLACK RAIN」。今回はケンカ別れしていたザック・ワイルドが全面復帰したということもあって期待高まるアルバム。黒い雨の降る中を松田優作ばりに仁王立ちのOZZYがデザインされたジャケットもいい感じ。
さっそく聴いてみた感想としては、とりあえず、印象に残る曲が無い・・・
ザックのリフは相変わらずヘヴィなザクザク系ですごくカッコいいにも関わらず、「この曲すげー!」っていう心の昂ぶりがないまま聴き終わってしまった・・・
評論家ではないので直感的なコメントになってしまうが、ザックの作る曲はリフだけでなく、オジーの声質を生かしたメロディラインの流れ方に強烈な印象が刻まれてきたと思うが、今回のアルバムではそういう点にパンチが無いのかなぁと。
もちろん「NO REST FOR THE WICKED」のようなぶっ飛び系のアルバムをいつも期待しているわけではないものの、ちょっと今回のアルバムは・・・いま一つ・・・
2007.05.29
■CSRレポートは専門家向け?
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自社のCSRを理解してもらうための最も効果的な手法は、「第三者から評価されること」、そのために「広告」ではなく「広報」が必要、と前々回に書かせていただきました。そして、人から評価されて広めるための社会との窓口ツールとして「CSRレポート」が大切、というのが前回の趣旨でした。
このCSRレポートが人から評価される場合、その評価をしてくれる「人」とは誰でしょうか? 現在、多くの企業が「CSRレポート」を作成し、配布しています。
これらを10社分ほど目を通すとはっきりと分かりますが、世の中に出されている「CSRレポート」は、専門家を読者対象として発行されているとしか思えない内容になっています。
CANPAN CSRプラスでは、社会的責任が大きい東証一部上場企業約1,700社のCSRに関する取り組みの情報開示度を調査し、ポイント化しています。この調査に関わった調査員、学生から社会人まで、の皆さんが口を揃えて言うのは、「CSRレポートは読みにくい」、です。
なぜ、多くの企業では、このような読みにくい「CSRレポート」を作成してし まうのでしょうか? その理由の一つは、GRI(グローバル・リポーティング・イニシアティブ)という組織が定めるCSRの世界的なガイドラインが世に広まっていることにあります。
■GRI日本フォーラム
http://www.gri-fj.org/
CSRというものは、企業活動の根幹に関わるとても広範なものを指すため、このような世界的な統一性のあるガイドラインが作られることはとても意義深いものがあります。昨年、この「GRIガイドライン」の第三版がリリースされ、話題を呼んでいます。
■GRIのガイドライン
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2007年に、世界を意識した各企業で作られる『真面目な』CSRレポートの多くは、この新しいガイドラインを満たせるよう、工夫を凝らして作られることは間違いありません。
しかし、このGRIガイドラインを読んでいただくとわかりますが、このガイドラインに沿ってそのままCSRレポートを作ると、学会の発表論文のようにならざるを得ません。したがって普段CSRと直接関わりのない方が読むには難解過ぎるのです。学会での論文発表が大切であるように、このガイドラインに沿って作られるCSRレポートにも意義はもちろんあります。
例えば、海外の機関投資家と呼ばれる人たちは、投資リスクの回避という視点で、このGRIガイドラインを重視、コンサルティング会社などにレポートの分析を依頼します。その結果を見て、この会社の株を買うべきかを判断します。
日本のCSRは、海外の機関投資家の意向を受けた調査機関からの「環境報告書」 の提出要請によって開花した経緯があります。「CSRレポート」が広報ツールとしてではなく、特定の専門家向け調査用資料となってしまうのはやむを得ないかもしれません。
しかし、海外投資家を意識せざるを得ない大企業にとって大変に重要なこれらの要素も、日本で大企業と呼ばれる企業数は全企業数のわずか0.3%です。他の99.7%の企業にとっては、必ずしもこのガイドラインの要件をすべて満たすようにCSRレポートを作らなければならないわけではありません。
しかし、ビジネスパートナーとして大企業と取り引きのある中小企業の場合はそうも言っていられないのが現状です。それは、「調達ガイドライン」というものを定める大企業が増えているからです。
■CANPAN CSRプラス(カンパン シーエスアール プラス)
http://canpan.info/csr/
☆──[ここがポイント]────────────────
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│ 1.多くの企業のCSRレポートは「専門家向け」である
│ 2.GRIというCSRの世界的なガイドラインの存在
│ 3.GRIガイドラインに沿ってそのまま作られたCSRレポートは難解になる
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2007.05.28
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■大企業が抱えるアキレス腱■
過日、某TVの人気番組の内容に虚偽であったとして社会問題化しました。この番組を放映したのは大手のテレビ局ですが、番組の提供は某有名企業の単独スポンサーであり、番組の内容を作成したのは地方テレビ局の下請け制作会社でした。
この一連の不祥事において、放映を行った親会社は、番組の制作を行う末端の会社までを監督しなければこのような事態を防げなかったことになります。現実的に考えれば、制作内容の一つ一つの真偽を親会社であるテレビ局が把握することは不可能です。
しかし、やはり放送という社会への影響力を考えれば、その責任下においてそれを果たしていかざるを得ません。100%防ぐ方法はあり得ないとしても、そのリスクをできるだけ低くするにはどうすればいいのでしょうか。
一言で言えば、「きちんとした番組を制作する制作会社としか契約しない」というとても単純な話です。しかし難しいのは、そのような制作会社をどうやって選ぶかという基準です。そこで最近、注目されているのが、「調達ガイドライン」というものです。
これは、各企業が打ち出す「自分たちはこのガイドラインを満たす企業としか取り引きをしない」という宣言書のようなものです。
例えば、「製品の原材料の製造過程で環境に配慮している企業としか取り引きしない」「海外の工場で不当労働をさせているようなところとは取り引きをしない」というように、自分たちのビジネスパートナーを選ぶ基準を自主的に定め、それを公開するという動きが始まっているのです。
そして、この基準では、その取引先企業がどのようなCSRを行っているかが重要なポイントになっています。
東証一部上場企業約1,700社の情報開示度をポイント化しているCANPAN CSRプラス( http://canpan.info/csr/ )のポイント上位20社のうち、この調達ガイドラインを設定し、公開している企業は14社ありました。
■調達ガイドラインをクリアする■
今後、特に大企業では、リスク回避の必要性から、この調達ガイドラインを定める動きが加速することは間違いありません。これは海外からもそれを定めることを求められるという外圧が激しさを増していることもあり、否応なく対応を迫られているからです。
たがって、今後この調達ガイドラインを定めている企業との取り引きを望むならば、まずそのガイドラインを自社がクリアしていないと商談のテーブルにもつかせてもらえないということになります。
そして、「CSRレポート」は、自分の会社がその条件を自社がクリアしていることを証明してくれる営業ツールとしても活用が期待されます。それは、前号で書いた「GRIガイドライン」に必ずしも準拠している必要はありません。
大切な取引先が「GRIに準拠したCSRレポートを作成していること」と調達ガイドラインを定めた場合は、それを作らざるを得ません。しかし、今のところそのようなガイドラインを定めている日本の企業はないようです。
一方で、GRIガイドラインほどの厳格さは求めていないものの、CSRを意識していない調達ガイドラインはあり得ません。したがって、必要とされるレポートは、「我が社は貴社の取引先としてふさわしいCSRを行っている企業です」と相手に理解してもらうためのレポートということになります。
それは、取引先のCSRへの取り組みを理解し、自分たちもその理念に共感しうるパートナーであることを証明できるものでなければなりません。取引先がCSRへの取り組みに真剣であればあるほど、自社に求められるCSRも真剣さが必要になるということです。
【ここがポイント】
1.取引先に対して「調達ガイドライン」を求める企業が増えている
2.調達ガイドラインは、取引先のCSRを判断するための指標
3.CSRレポートが調達ガイドイランをクリアするためのツールとなる
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2007.05.28
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■CSRは陰徳を積むことではない
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前回の号で、自社のCSRを理解してもらうためには「広告」ではなく「広報」が必要だと書きました。つまり、自分たちのCSRを自らの手でビラを撒いて歩くのではなく、人から評価されて広まることが王道ということです。
日本人の美徳の一つに「陰徳を積む」という行為があります。人知れず良い事をすることと言われています。本当は「自分も気付かないうちに人のために良い事をしていること」が正しいようですが、企業のCSRはこれではいけません。
なぜなら、企業のCSRは、社会や株主、従業員など、関わる全ての人たちにその内容について説明することが求められているからです。極論すれば「知られていないCSRは存在しない」のと同じことです。
「それはないだろう、こんなに一生懸命取り組んでいるのに!」というお叱りの声が聞こえてきそうですが、自分のポケットマネーで慈善行為をすることとCSRは違います。社会に対して責任を果たすということは、それを公開し、社会に理解を求め、内容の是非を委ねることも重要なことなのです。
その公開資料として、現在主流なのは「環境報告書」や「CSRレポート」、また最近では「サスティナビリティレポート」といった名称で企業から発行されている報告書です。(以後は「CSRレポート」と表現します。)
もしこのメルマガをお読みのあなたがCSRのご担当の方でしたら、きっと社内調整等々、大変な思いをしながらCSRレポートを作成されていることでしょう。このCSRレポートの重要性は今後、間違いなく増大していきます。
■コミュニケーションツールとしての「CSRレポート」
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すでにいくつかの先進的な企業のCSRレポートに見られるように、最近のCSRレポートは、事実が単純に羅列された報告書ではなく、より積極的に自社のCSRを理解してもらうための「広報ツール」として、社会との窓口となる役割を担うべく作成されています。
したがって、CSRレポートを作成する際には、当たり前のことですが、いかに読み手のことをきちんと意識できているか、が一番重要になります。「誰に対して、どんな内容を、どのように知ってもらうか」を最初にきちんと決めておかなければなりません。
その際には、「最低限、この人たちにはわかってもらう」という割り切りも重要です。CANPAN CSRプラスという私がウェブマスターをしているサイトでの大学生1681名へのアンケート調査では、実際にCSRレポートを読んだことがある学生は139名でした。
彼らは3年生と4年生、つまり就職を意識している学生にも関わらず、企業の活動の根幹とも言えるCSRレポートを10人に1人しか読んでいないのです。一方では、きちんとCSRレポートを読んでくれるような優秀な学生が10人に1人はいるということです。
ならば、この学生たちにどうやって自社のCSRを理解してもらうか、CSRレポートを手に取ってくれるような意識の高い市民の方に自社の何を知ってもらうのか、という視点でCSRレポートを構成することも戦略的には正しいことです。
つまり、広報としてのCSRは、万人が読んでなんとなく納得感を持ってもらう広告ではなく、10人に1人の人にドカンと強く訴えるものとして作る大胆さもあっていいということになります。
■CANPAN CSRプラス(カンパン シーエスアール プラス)
http://canpan.info/csr/
☆──[ここがポイント]────────────────
│
│ 1.CSRを広報することは社会への責任を果たすこと
│ 2.CSRレポートは社会とのコミュニケーションツール
│ 3.誰に読んでもらうためのCSRレポートなのかをまず決める
│
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